論文等

原著論文

吉原一詞、*中垣俊之,
粘菌の用不用適応能に倣った形状最適化設計法の検討,
土木学会論文集 A2(応用力学) 72(2), 3-11 (2016).

概要: 生物システムのつくる構造物は優れた機能性を有しているとしばしば指摘される.そのような機能的な構造がどのようなアルゴリズムによって設計されているかは,興味深い問題である.本研究では,真正粘菌モジホコリという真核単細胞生物がつくる輸送ネットワークの設計方法にヒントを得た構造物の設計方法を検討した.最たる特徴は,「よく使われる部分は強化され,そうでない部分は弱化される」という,いわゆる「用不用則」である.この運動規則がシステムの局部で自律的かつ分散的に作用することによって,全体としてある種の最適性が実現された.まずはじめに,流量強化則の事例として交通網と町の共発展現象を検討し,次に構造物に題材を変えてヒト大腿骨におけるリモデリング現象を検討した.そののち,単純な例題として片持梁のデザインに用不用則を適用した.「どれほど使われるとどれほど強化されるか」を定める関数形(さじ加減)によって,多様なトポロジーをもつ形状が生み出された.また,初期状態をあえて一様でなくして,偏りをつけておくことによっても,多様さが生じた.これら二つの要因で形状を調整できることは設計の立場からすると都合がよいと思われる.この最適化法の可能性について議論した.
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