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A01-003佐野グループ

論文等 | 原著論文

2017

Tomoyuki Mano, *Jean-Baptiste Delfau, Junichiro Iwasawa, and Masaki Sano,
Optimal run-and-tumble based transportation of a Janus particle with active steering,
Proceedings of the National Academy of Sciences 114, in press.

概要: 熱ゆらぎにさらされるミクロンサイズの物体を制御することは人工物にせよ微生物にせよ難しい。近年、小さな自己駆動粒子の製作が可能となったが、微粒子を目的の方向に向かわせることは、ランダムな回転拡散との競合となる。我々は、AC電界下で自己駆動するJanus粒子を用い、バクテリアのrun-and-tumble行動に倣って、粒子の向きを遠隔操作するアルゴリズムを考案した。さらに、理論的に最適な戦略を求め、微生物の遊泳行動との比較を行った。その結果、ボルボックス程度(約500ミクロン)の大きさの場合は、運動の向きを常に制御しつつ目的に向かって泳ぐこと(active steering)が最適であるのに対して、バクテリア程度(約2ミクロン)の大きさでは、向きを正確に制御するよりは、角度が目的を大きくずれた場合だけ、方向転換するrun-and tumble戦略が最適であることが分かった。

Kazumasa A. Takeuchi,
1/fα power spectrum in the Kardar-Parisi-Zhang universality class,
Journal of Physics A: Mathematical and Theoretical 50, 264006/1-17 (2017).

概要: (1+1)次元 Kardar-Parisi-Zhang (KPZ) 普遍クラスに属する界面ゆらぎのパワースペクトルを実験的、および数値的に測定し、いわゆる1/f型スペクトルを観測した。得られたパワースペクトルに対して臨界指数を測定し、それが近年提唱されたエイジングWiener-Khinchin定理で説明できることを示した。さらに、同定理により、KPZクラスにおける1/f型パワースペクトルはKPZ界面が漸近的に従うBaik-Rains普遍分布の情報を含んでいることが判明し、実験および数値計算のデータとよく一致する結果を得た。

*Jacopo De Nardis, Pierre Le Doussal, and Kazumasa A. Takeuchi,
Memory and Universality in Interface Growth,
Physical Review Letters 118, 125701/1-5 (2017).

概要: 界面成長等の普遍的な非平衡ゆらぎを記述するKardar-Parisi-Zhang (KPZ) クラスは、1次元では分布関数や空間相関が厳密に求められていたものの、時間相関は未解決問題として残されていた。本論文では、時間相関について実験と比較可能な理論的表式を初めて導出し、それが実験や数値計算と精度よく合致することを発見した。また、KPZクラス以外の非平衡普遍クラスでも存在しうる特徴的な記憶効果についても知見を得た。

*Daiki Nishiguchi, Ken H. Nagai, Hugues Chate, and Masaki Sano,
Long-range nematic order and anomalous fluctuations in suspensions of swimming filamentous bacteria,
Physical Review E 95, 020601(R) /1-6 (2017).

概要: 分裂とタンブリングを阻害した、長いフィラメント状のバクテリアを用いて、準2次元的に拘束された薄い容器内でネマチックな集団運動を観察した。密度を上げるとバクテリアは、弱いながらも衝突によりネマチックに向きを揃える効果を示し、空間の広い領域でネマチックオーダーパラメターが減衰せず、長距離の方向秩序と呼べる状態を実験系で始めて観測することに成功した。この長距離秩序状態で粒子数の密度ゆらぎを測定すると、Giant Number Fluctuationと呼べる振る舞いが観測され、種々の相関関数の振る舞いの無矛盾な結果が得られた。 【H26-27年度の公募班メンバーである永井健氏との共同研究であり、Chate氏との国際共同研究でもある。】

2016

Gioia Carinci, Cristiana Giardina, Frank Redig, Tomohiro Sasamoto,
A generalized asymmetric exclusion process with Uq(sl2) stochastic duality,
Probability Theory and Related Fields 166(3), 887-933 (2016).

概要: 1次元非対称排他過程(ASEP)のカレント等の性質を調べる際、自己双対性が有用であるが、カレントのある非平衡確率モデルにおいて、自己双対性がどのように現れるかはよくわかっていない。本論文においては、量子群に関係する自己双対性を持つ確率モデルを系統的に構成する方法を示し、例として、Uq(sl2)の高スピン表現に対応する確率モデルを構成した。

*Kazumasa A. Takeuchi and Takuma Akimoto,
Characteristic Sign Renewals of Kardar-Parisi-Zhang Fluctuations,
Journal of Statistical Physics 164, 1167-1182 (2016).

概要: (1+1)次元 Kardar-Parisi-Zhang (KPZ)クラスの揺らぎの符号の解析により、KPZクラスの一部性質が、更新過程と呼ばれる、エイジングやエルゴード性の破れの研究で用いられる単純な確率過程と関係することを数値的・実験的に示した。特に、KPZと更新過程は全く異なる系であるにも拘わらず、再帰時間やpersistence確率などの性質が両者で定量的に一致することが判明した。また、KPZ揺らぎの符号の時間平均値が、弱いエルゴード性の破れと呼ばれる性質を示すこともわかり、更新過程とも異なる、KPZ特有の分布関数が見出された。さらに、理論的にほぼ未解明のKPZ時間相関における円形界面と平面界面の違いについても新たな知見が得られた。 【竹内一将、研究計画の作成(共同)、データ解析、数値計算(分担)、論文執筆(共同)】

*Xiong Ding, Hugues Chate, Predrag Cvitanovic, Evangelos Siminos, and Kazumasa A. Takeuchi,
Estimating the Dimension of an Inertial Manifold from Unstable Periodic Orbits,
Physical Review Letters 117, 024101/1-5 (2016).

概要: 本論文では、散逸を伴う時空カオス力学系を記述するとされる有限次元の慣性多様体が、不安定周期軌道だけを用いて構成できることを数値的に示した。具体例として、蔵本-Sivashinsky方程式を用い、共変Lyapunovベクトルの双極性を用いて推定した慣性多様体次元と、今回不安定周期軌道を用いて推定した慣性多様体次元が一致することが判明した。 【竹内一将、研究計画の作成(共同)、データ解析(一部)、議論(共同)、論文執筆(共同)】

*J.-B. Delfau, John J. Molina and M. Sano,
Collective behavior of strongly confined suspensions of squirmers,
Europhysics Letters 114, 24001/1-5 (2016).

概要: 自己駆動粒子の低レイノルズ数流体中での集団運動の可能性を明らかにするため、Squirmerと呼ばれる球形粒子で表面流を仮定したモデルを用い、集団運動を乱す原因である流体相互作用を抑えるため、高さ方向に強く拘束された準2次元的境界条件の下で数値シミュレーションを行った。その結果、遠距離での流体相互作用は急激に減衰するものの、近距離での流体相互作用も重要となり、Neutral Swimmerと呼ばれる場合に集団運動が観測されたが、PusherやPullerの場合は集団運動は極めて形成されにくいことを明らかにした。 【公募班の山本量一グループのメンバーであるJohn Molina氏との共同研究である。】

*Takao Ohta, Mitsusuke Tarama and Masaki Sano,
Simple model of cell crawling,
Physica D 318, 3-11 (2016).

概要: 細胞運動の新しい理論モデルを提案した。2次元で細胞の形を変形させる力テンソル、変形が生み出す重心の運動を対称性からモデル化し、細胞が発生する応力リミットサイクル振動する場合や興奮性でノイズによりコヒーレントレゾナンス現象で振動する場合などについて計算とシミュレーションを行った論文。

*John J. Molina, Kotaro Otomura, Hayato Shiba, Hideki Kobayashi, Masaki Sano, and Ryoichi Yamamoto,
Rheological evaluation of colloidal dispersions using the smoothed profile method: formulation and applications,
Journal of Fluid Mechanics 792, 590-619 (2016).

概要: コロイド分散系のレオロジー特性を、粒子間の流体力学相互作用を直接ナビエストークス方程式の数値シミュレーションで評価するための方法論の大幅な拡 張を行った。具体的には、均一なせん断流を実現する Lees-Edwards 周期境界条件の下で、 粒子分散系のレオロジー特性を評価するための定式化を行った。この拡張により、系の粘性を調べる際に一般的な定常(DC)せん断流だけではなく、粘弾性を調べる際に必要となる振動せん断流をも実現することが可能となったのみならず、系の全応力や任意の場所に おける局所応力など、レオロジー評価に必要な全ての物理量を直接数値計算で求めることが 可能となった。

*Masaki Sano and Keiichi Tamai,
A Universal Transition to Turbulence in Channel Flow,
Nature Physics 12, 249-253 (2016).

概要: 層流・乱流転移がいつどのように起こり、そこにどのような法則があるかは、レイノルズ以来130年以上にわたる未解決の問題である。カオスの発見はこの問題に関して教科書を書き換えるほどのインパクトを与えたが、あくまでも時間的な乱れに関してであり、パイプ流やチェネル流などのシア流の層流・乱流転移に関しては長年の努力も関わらず未解決のままであった。我々は、これまでで最大のチャネル流の実験を行い、チャネル流における臨界現象的振る舞いを見いだした。チャネルの入り口での境界条件を乱流にして注入した場合、レイノルズ数が臨界より低ければ乱流は下流に伝播する過程で減衰してしまうが、臨界を超えると乱流状態が全体に広がる。また、臨界点近傍では乱流は時空間欠的になり、オーダーパラメーターのゼロからの立ち上がりや相関長の発散といった現象が観測される。この測定で得られた3つの独立菜臨界指数は、(2+1)次元のDirected Percolationと一致した。

2015

Alexei Borodin, Ivan Corwin, Leonid Petrov, Tomohiro Sasamoto,
Spectral theory for interacting particle systems solvable by coordinate Bethe ansatz,
Communications in Mathematical Physics 339(3), 1167-1245 (2015).

概要: KPZ系の解析においては、q-TASEPやq-bosonゼロレンジ過程と呼ばれる離散模型が重要な役割を果たしている。本論文では、その一般化として、q-Hahn多項式の重み関数に関係する離散確率過程模型を導入し、そのカレントの揺らぎのモーメントに関する表式を与えた。

*Daiki Nishiguchi and Masaki Sano,
Mesoscopic turbulence and local order in Janus particles self-propelling under an ac electric field,
Physical Review E 92, 052309/1-11 (2015).

概要: 自己駆動粒子の高密度な集団によるメソスコピック乱流の発生に関する実験報告。Janus粒子を用いて電気流体力学効果により印可したAC電圧と垂直な面内で極性を持って動き回る自己駆動粒子の相互作用やエネルギースペクトラムを測定した結果、粒子間の流体相互作用による効果がメソスコピック乱流を所持させていることを実験と理論から明らかにした。

*Shoichi Toyabe, Masaki Sano,
Nonequilibrium Fluctuations in Biological Strands, Machines, and Cells,
Journal of the Physical Society of Japan 84, 102001/1-17 (2015).

概要: ゆらぎの定理やJarzynski等式など最近の非平衡ゆらぎに関する理論を生物系の実験にどのように適用するかをレビューした招待論文。DNAやRNAなどの一分子力学応答、分子モーターなどの仕事と効率、細胞におけるゆらぎの実験と理論について紹介している。

Tomohiro Sasamoto, Herbert Spohn,
Point-interacting Brownian motions in the KPZ universality class,
Electronic Journal of Probability 20, 1-28 (2015).

概要: KPZクラスに属する相互作用するブラウン運動粒子系を構成し、いくつかの性質を示した。特に、このモデルは自己双対性を持ち、それを利用することで、カレントの分布がTracy-Widom分布となることを議論した。コロイド粒子系でKPZ系を実現する際のモデルとなりうる。

*Timothy Halpin-Healy, Kazumasa A. Takeuchi,
A KPZ Cocktail: Shaken, not stirred… -Toasting 30 years of kinetically roughened surfaces,
Journal of Statistical Physics 160, 794-814 (2015).

概要: Kardar-Parizi-Zhang、いわゆるKPZ方程式は、およそ30年前に考案され、それに関わる物理学は、今でも最先端の話題として多くの科学者を魅了し続けている。本論文ではKPZ方程式に関する30年間の進展を手短に概観するとともに、KPZクラスを特徴づける非平衡ゆらぎの新たな性質や、思索的な観察結果等を紹介する。

*Hiroyuki Ebata and Masaki Sano,
Swimming droplets driven by a surface wave,
Scientific Reports 5, 8546/1-7 (2015).

概要: 加振された液滴が示す形態の時間発展と並進運動に関する実験と解析。加振を増加させてゆくと、回転、振動、直進、ジグザグなどの非自明な重心運動が液滴の形の変化を伴って現れる。それに対して、分岐理論による解析を行い、実験と良く一致することを明らかにした。

*Takaki Yamamoto, Masafumi Kuroda, and Masaki Sano,
Three-dimensional analysis of thermo-mechanically rotating cholesteric liquid crystal droplets under a temperature gradient,
EPL 109, 46001/1-6 (2015).

概要: カイラル液晶に温度勾配を印可した際に現れる回転運動は、非平衡クロス効果の一種であり、レーマン効果と呼ばれている。カイラル液晶の液滴を用いて、蛍光配向共焦点顕微鏡法により回転液滴の内部配向構造を始めて測定することに成功した。また、様々の配向条件の下で回転速度の温度勾配依存性やサイズ依存性を定量的に測定し、その結果から従来の理論では説明できない効果を見いだし、表面効果を考慮した現象論的解析を行った。

Alexei Borodin, Ivan Corwin, Leonid Petrov, and Tomohiro Sasamoto,
Spectral theory for the q-boson particle system,
Compositio Mathematica 151, 1-67 (2015).

概要: KPZ普遍性クラスに入っている離散モデルとして、q-TASEPやqボソンゼロレンジ過程は、レプリカ法を厳密に適用出来る系として重要な役割を果たしている。本論文では、これらの模型の時間発展演算子の固有値、固有関数の性質、特にその完全性や、和公式に関する結果を得た。

2014

Tomohiro Sasamoto, and Lauren Williams,
Combinatorics of the asymmetric exclusion process on a semi-infinite lattice,
Journal of Combinatorics 5(4), 419-434 (2014).

概要: KPZ普遍性クラスに入っている離散モデルとして、q-TASEPやqボソンゼロレンジ過程は、レプリカ法を厳密に適用出来る系として重要な役割を果たしている。本論文では、これらの模型の時間発展演算子の固有値、固有関数の性質、特にその完全性や、和公式に関する結果を得た。

Ismael S. S. Carrasco, Kazumasa A. Takeuchi, Silvio da Costa Ferreira Junior, and *Tiago José Oliveira,
Interface fluctuations for deposition on enlarging flat substrates,
New Journal of Physics 16, 123057/1-20 (2014).

概要: ゆらぎを伴う界面成長の他、様々な非平衡ゆらぎを記述することがわかりつつあるKardar-Parisi-Zhang (KPZ)普遍クラスでは、界面の巨視的な形状によって(例えば、円形か平面状かによって)異なる普遍サブクラスに分離することが知られている。本研究では、KPZクラスに属する複数のモデルを数値計算し、界面に曲率を付ける代わりに、システムサイズを時刻と共に増大させていったところ、円形界面の普遍サブクラスが現れることを発見した。このことから、円形界面と平面界面のサブクラスを分かつのに、システムサイズの増大の有無が、界面の曲率や初期条件と同程度か、それよりも基本的な役割を果たしている可能性が示唆される。また、システムサイズが増大する平面界面は円形界面よりも数値計算が容易であり、本成果によって、円形界面の様々な統計則を数値的に高精度で測定することが可能となった。 【竹内一将(他の著者とは独立に本研究の着想に至り、一部のモデルの数値計算や、他著者の得た数値データの解析などを担当)】

Alexei Borodin, *Ivan Corwin, Tomohiro Sasamoto,
From duality to determinants for q-TASEP and ASEP,
Annals of Probability 42, 2314-2382 (2014).

概要: KPZ方程式の解析においては、レプリカ法という方法が有用であるが、計算の途中で現れる級数が発散するなど、数学的には困難が残っていた。本論文においてはKPZ方程式の離散化にあたるq-TASEPとASEPという2つのモデルに対し、双対性を用いてレプリカ法と同等の計算を厳密に実行することが可能である事を示した。

*Kazumasa A. Takeuchi,
Experimental approaches to universal out-of-equilibrium scaling laws: turbulent liquid crystal and other developments,
Journal of Statistical Mechanics: Theory and Experiment P01006/1-28 (2014).

概要: 本論文は、非自明かつ普遍的なスケーリング則が現れる非平衡系として知られる「吸収状態転移」と「ゆらぐ界面成長」に関し、最近の実験研究の主な進展をまとめたものである。前半では、液晶電気対流の乱流状態において著者らが得た主要な成果として、乱流間転移の臨界現象がdirected percolationクラスに属すること、また、一方の乱流状態が他方を侵食していく際にはKardar-Parisi-Zhangクラスの界面ゆらぎが現れることを解説する。後半では、これら二つの普遍クラスを中心に、関連する実験研究を紹介・検討する。吸収状態転移や界面ゆらぎを解析する際の勘所についても手短に解説している。 【佐野雅己(実験面での共同研究)、笹本智弘(理論面での共同研究)】

*Hirokazu Tanimoto and Masaki Sano,
A simple force-motion relation for migrating cells revealed by multipole analysis of traction stress,
Biophysical Journal 106, 16-25 (2014).

概要: 一般に、細胞運動を力学的に記述し予測することは難しい。アメーバ細胞などの一見ランダムな運動がどのように生み出されるのか、運動方向はどのように決まるのかについては、未だに多くの議論がある。我々は、細胞性粘菌のアメーバ細胞を用いて、空間スケール1μ以下でnNオーダーの応力分布を測定することのできる牽引力顕微鏡の技術を開発し、細胞が基盤に及ぼす応力の空間分布のそのダイナミクスを測定した。細胞は自律的に動き回り、外力が働かないため、力の合力はゼロであるため、空間分布の多重極展開を行った。その解析の結果、力の双極子成分が運動の軸を決定し、四重極成分が運動方向を決めていることを見いだした。これにより応力分布から細胞の運動方向を予測することが可能であることを初めて明らかにした。応力分布の詳細なダイナミクスの解析も併せて示した。 (東大理学部のWeb版プレスリリースに掲載された。)

2013

*Hiroyuki Ebata and Masaki Sano,
Bifurcation from stable holes to replicating holes in vibrated dense suspensions,
Physical Review E 88, 053007/1-8 (2013).

概要: 垂直に加振された濃厚粒子懸濁液に生じるホールとその自己複製現象に関する実験とモデルに関する研究である。自己複製するパターンは、これまで反応拡散系などで知られていたが、粒子懸濁液の系で安定なホール構造と間欠的な分裂を繰り返す不安定性を見いだした。また、対応するダイナミクスにおける変形の確率分布や分裂の時間間隔などを再現する数理モデルを提案した。

*Patrik L. Ferrari, Tomohiro Sasamoto, Herbert Spohn,
Coupled Kardar-Parisi-Zhang Equations in One Dimension,
Journal of Statistical Physics 153, 377-399 (2013).

概要: 過去数年にわたり、一次元KPZ方程式の解のスケーリング特性の理解は、理論的にも実験的に、かなり進んでいる。この論文では、そこで得られた知見の一部を、結合した1次元KPZ方程式に拡張する。多成分確率的駆動あり格子ガスの非線形な揺らぎのある流体力学との等価性を確立する。理論の予測を確認するために、二成分AHRモデルのモンテカルロシミュレーションを行い、スケーリング指数だけでなく、スケーリング機能と非普遍係数に関しても比較した。

Takashi Imamura, *Tomohiro Sasamoto, Herbert Spohn,
On the equal time two-point distribution of the one-dimensional KPZ equation by replica,
Journal of Physics A: Mathematical and Theoretical 46, 355002/1-9 (2013).

概要: 1次元のKardar-Parisi-Zhang方程式の厳密解においては、1点高さ揺らぎは厳密解が見いだされ、詳しく調べられているが、多点の分布については理解が遅れている。最近Dotsenkoが長時間極限における2点分布に関するある表式を得たが、KPZ方程式以外の系に対する先行研究で得られたとの関係が明らかではなかった。本論文ではDotsenkoが得た表式が以前から知られていたAiry過程と呼ばれる過程の2点分布と等しい事を示した。(IOP selectに選ばれた。)