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A01-004宮崎グループ

論文等 | 原著論文

2017

*Yuliang Jin, Hajime Yoshino,
Exploring the complex free energy landscape of the simplest glass by rheology,
Nature Communications 8, 14935 (2017).

概要: ガラスは乱れていることを除くと結晶と同じように固体である。そこで従来は、ガラスにおいても結晶と同じく、少なくとも十分低温・高密度では「エネルギー極小状態+調和的な振動」という描像が基本的に成り立つと考えられてきた。ところが最近、ガラス相の奥深くにおいてガードナー転移と呼ばれる連続レプリカ対称性の破れが起こり、これによって階層的なエネルギーランドスケープが出現することが高次元極限における剛体球系のレプリカ液体論によって示された(P.Charbonneau,et al. (2014))。我々はこの階層構造がレオロジー、特に剛性率に明瞭に反映されることをレプリカ液体論の枠組みの中で示していた (H. Yoshino and F. Zamponi,(2014))。 今回、この現象を3次元剛体球系における分子動力学シミュレーションで明瞭に捉えることに成功した。密度の増大によってガードナー転移が起こると、圧縮とシアが非可換になりZFC/FC剛性率に差異が生じ、異なる圧力依存性を示す。これは理論的な予測と合致している。

Harukuni Ikeda, Kunimasa Miyazaki and *Giulio Biroli,
The Fredrickson-Anderson model with random pinning on Bethe lattices and its MCT transitions,
EPL 116, 56004/1-8 (2017).

概要: ガラス転移を動的転移とみなす数理模型である動的拘束模型の動的不均一性を理論的に解析した。ベーテ格子上におけるFA模型の多体相関関数を半解析的に計算し、その数値解析の結果、通常のモード結合理論が予想する動的相関を観測した。特に不純物を導入したモデルに対しては、いわゆる高次特異点が現れる。これは最近の不均一モード結合理論の結果と整合している。

2016

*Harukuni Ikeda, Kunimasa Miyazaki, and *Atsushi Ikeda,
A note on the replica liquid theory of binary mixtures,
Journal of Chemical Physics 145, 216101/1-2 (2016).

概要: ガラス転移の記述するレプリカ理論では、多成分系の場合には残留エントロピーの定式化に、内部矛盾が存在することが指摘されていた。本論文では、理論を森田ー広池形式で書き換えることで物理的に整合性がある結果となることを示した。 【宮崎州正(議論と論文執筆)】

Ryoji Miyazaki, Takeshi Kawasaki, and *Kunimasa Miyazaki,
Cluster Glass Transition of Ultrasoft-Potential Fluids at High Density,
Physical Review Letterrs 117, 165701/1-5 (2016).

概要: Ultra-softポテンシャル系と呼ばれる、単距離斥力が有限である粒子系の過冷却液体状態におけるガラス転移の挙動をシミュレーションにより精査した。その結果、粒子同士が重なりクラスターを生成し、そのクラスターがガラス化する新規ガラス現象を発見した。さらに密度のより多様なガラス相が現れ、一種のポリアモルフィズムが存在することが昭館になった。

Daijyu Nakayama, Hajime Yoshino, Francesco Zamponi,
Protocol-dependent shear modulus of amorphous solids,
Journal of Statistical Mechanics: Theory and Experiment 10, 104001 (2016).

概要: ソフトコア粒子系のジャミング相において、シアと圧縮が非可換になることをMDシミュレーションによって見出した。これは無限大次元における理論解析の予想する、複雑な自由エネルギーランドスケープの存在を強く示唆する結果である。 【吉野 元 (研究計画、議論と論文執筆)】

Misaki Ozawa, Kang Kim, *Kunimasa Miyazaki,
Tuning Pairwise Potential Can Control the Fragility of Glass-Forming Liquids: From Tetrahedral Network to Isotropic Soft Sphere Models,
Journal of Statistical Mechanics: Theory and Experiment None, 074002/1-21 (2016).

概要: ガラス転移における重要な概念であるフラジリティを統一的に理解するために、CPモデルというシリカガラスのモデルを拡張し、ソフトコアとシリカの双方をシームレスにつなぐポテンシャルを考案し、そのダイナミクスをシミュレーションにより解析した。フラジリティ、比熱、Stokes-Einstein則の破れなどを解析し、それらの観測量間の相関を明らかにした。

Daniele Coslovich, *Atsushi Ikeda, Kunimasa Miyazaki,
Mean-field dynamic criticality and geometric transition in the Gaussian core model,
Physical Review E 93, 042602/1-8 (2016).

概要: ガウスコアモデル(GCM)と呼ばれる柔らかい相互作用を持つ液体のガラス転移を大きぼシミュレーションにより解析した。この系は著者らにより現存する最も平均場模型に近いガラスモデルであることが明らかになっているが、本研究ではさらに動的不均一性を調べることでその検証を行った。実際に4体相関関数に現れるスケール則はMCTの予想と一致しているほか、振動モードの局在長も通常のガラスモデルよりも長いことを示唆する結果を得た。

2015

Harukuni Ikeda, *Kunimasa Miyazaki,
Facilitated spin model on Bethe lattice with random pinning,
EPL 112, 16001 (2015).

概要: 我々はベーテ格子上で、Fredrickson-Andersen模型におけるランダムピニングの影響を調べた。我々は、非エルゴード転移点が、ピンされたスピンの密度の増加とともに上昇すること、そして転移点がある臨界点で終端することを示した。この振る舞いは、pスピンガラスで最近示されたものと酷似している。特に終端臨界点付近における特性長の発散は、MCTでいるところのA3特異点のそれと同じものであった。

Misaki Ozawa, *Walter Kob, Atsushi Ikeda, Kunimasa Miyazaki,
Reply to Chakrabarty et al.: Particles move even in ideal glasses,
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 112, E4821-E4822 (2015).

概要: Chakrabartyらは、彼らの緩和ダイナミクスに関するデータが、我々の報告した熱力学データと矛盾していることを指摘した。 彼らの議論によれば、RFOTが正しいとすると、我々が計算した配置エントロピー$S_c$が、定量的に正しくないと主張している。我々はこのレターで、彼らの結論が正しくないことを、自己緩和関数と協同相関関数を計算することにより示した。

Misaki Ozawa, *Walter Kob, Atsushi Ikeda, and Kunimasa Miyazaki,
Equilibrium phase diagram of a randomly pinned glass-former,
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 112, 6914-6919 (2015).

概要: ガラス転移点の存在がいまだに証明されていない理由は、緩和時間の増大に阻まれて、転移点を直接観測することが出来ないことにある。最近、この困難を克服するアイデアがスピングラスの平均場模型の解析から提案された。これは構成粒子の一部を凍結(ピニング)させ、これを不純物と見なすことにより、真のガラス転移点を高温側に引き上げるというものである。熱平衡状態で得られた粒子配置をピニングさせるため、この系の配置情報や静的な物理量は完全にバルクのそれと一致している。研究代表者らは、3次元の液体の分子の配置を一部ピニングした系のシミュレーションを行い、有限次元の液体においても真のガラス転移点(理想ガラス転移点)が存在することを検証することに初めて成功した. 【宮崎州正(論文の執筆、研究全体の統括)】

Corrado Rainone, Pierfrancesco Urbani, Hajime Yoshino, *Francesco Zamponi,
Following the evolution of glassy states under external perturbations: compression and shear-strain,
Physical Review Letters 114, 015701/1-5 (2015).

概要: 圧縮や減圧・シアなどの摂動に対するガラス準安定状態の断熱的な応答を第一原理的に解析する方法を、レプリカ液体論に基づいて提案した。またこれを無限大次元剛体球ガラスにおいて実際に適用した。その結果、減圧やシアによってガラス準安定状態が溶けたり、降伏したりする現象を第一原理的な理論によって捉えることに初めて成功した。また圧縮やシアによって、個々のガラス準安定状態においてレプリカ対称性が破れること、すなわち準安定状態のさらなる枝分かれ現象(ガードナー転移)が起こる事を捉えた。 【吉野元(シアに対する線形・非線形応答に関する理論解析を担当)】

2014

Saroj Kumar Nandi, *Giulio Biroli, Jean-Philippe Bouchaud, Kunimasa Miyazaki, and David R. Reichman,
Critical dynamical heterogeneities close to continuous second-order glass transitions,
Physical Review Letters 113, 245701/1-5 (2014).

概要: 非一様モード結合理論をもちいて、連続ガラス転移点近傍の臨界的振る舞いを解析した。その結果、動的相関長の臨界指数が、臨界点近傍で1/3であることを見出し、かつ上部臨界次元が6であることをあきらかにした。さらに、動的相関長の時間依存性が$(log t)^2$であることも明らかになった。

Hajime Yoshino and Francesco Zamponi,
The shear modulus of glasses: results from the full replica symmetry breaking solution,
Physical Review E 90, 022302/1-14 (2014).

概要: 無限大次元における剛体球ガラスの剛性率について、厳密解に基づく理論解析を行った。まずガラス秩序パラメータに加え、シア歪みをあらわに含む自由エネルギーの厳密な表式を導出した。これをもとに、ガラス転移、ジャミング転移に伴う剛性率の特異的な振舞いを明らかにした。特に、ジャミング密度に向かう剛性率のスケーリング特性は、連続レプリカ対称性の破れを直接反映していることが明らかになった。 【吉野 元: 研究の構想と理論計算】

Takeshi Kuroiwa and *Kunimasa Miyazaki,
Brownian motion with multiplicative noises revisited,
Journal of Physics A: Mathematical and Theoretical 47, 012001/1-8 (2014).

概要:コロイド粒子などのブラウン運動を記述するランジュバン方程式において、ノイズが粒子自身の位置座標などの自由度に依存する場合、「乗法的」過程と呼ばれる。乗法的過程ではノイズが原理的に非線形となるために特有の困難が生じる。特にノイズの解釈問題は典型的な問題である。我々はこの解釈問題を、早い自由度の断熱的消去によりあいまいさなく導くことに成功した。この結果は揺動散逸定理などに頼らない一般的なものである。

2013

*Kang Kim, Shinji Saito, Kunimasa Miyazaki, Giulio Biroli, and *David R. Reichman,
Dynamic Length Scales in Glass-Forming Liquids: An Inhomogeneous Molecular Dynamics Simulation Approach,
The Journal of Physical Chemistry B 117, 13259–13267 (2013).

概要: 過冷却液体の動的不均一性の起源となる相関長を特徴づけるための新しい手法を研究した。この手法は不均一モード結合理論のアイデアに触発されたもので、空間的に変調された相互作用をプローブ用の外場として印可し、その線形応答を直接観測するものである。我々が得た結果は、モード結合理論の予想を定性的に裏付けるものであった。また、通常動的不均一性を測定する際に使われる4点相関関数との関係も論じた。