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A01公募班(2016-2017)

論文等 | 原著論文

2016

*Takumi Ito, Tomohiro Otsuka, Shinichi Amaha, Matthieu R. Delbecq, Takashi Nakajima, Jun Yoneda, Kenta Takeda, Giles Allison, Akito Noiri, Kento Kawasaki, and Seigo Tarucha,
Detection and control of charge states in a quintuple quantum dot,
Scientific Reports 6, 39113 (2016).

概要: 半導体量子ドットを用いて有用なデバイスを作り出すためには、系の大規模化が重要となる。私たちは3重量子ドットに対して1つの電荷センサーと2つの電極を用いた構造を基本ユニットとして提唱し、実際に5重量子ドットを作製してその動作を確認した。5重量子ドットの電荷状態を観測し、またその状態を計算により再現した。この結果は大規模な多重量子ドット系を実現するのに重要となる。

*Tomohiro Otsuka, Takashi Nakajima, Matthieu R. Delbecq, Shinichi Amaha, Jun Yoneda, Kenta Takeda, Giles Allison, Takumi Ito, Retsu Sugawara, Akito Noiri, Arne Ludwig, Andreas D. Wieck, and Seigo Tarucha,
Single-electron Spin Resonance in a Quadruple Quantum Dot,
Scientific Reports 6, 31820 (2016).

概要: 半導体量子ドット中の電子スピンは、量子情報処理に向けた量子ビットの候補として注目を集めている。スピン状態の初期化、操作、読み出し等の基本的な必要操作は既に実現されており、次に量子ドット系を大規模化し、そこでのスピン操作を実行することが重要となっている。私たちは4重量子ドットを用いて単一電子スピン共鳴を実現した。微小磁石が作り出す磁場勾配の中に、少数電子4重量子ドットを形成し、さらにマイクロ波を印加して量子ドットの位置を振動させることにより、電子スピン共鳴を誘起した。この結果、4つの量子ドットに対応する電子スピン共鳴が観測された。また微小磁石の磁場のためこれらの共鳴線が少しずつシフトしていることを利用して、周波数等でアドレス可能な単一電子スピン操作を実現した。

*Kenta Takeda, Jun Kamioka, Tomohiro Otsuka, Jun Yoneda, Takashi Nakajima, Matthieu R. Delbecq, Shinichi Amaha, Giles Allison, Tetsuo Kodera, Shunri Oda, and Seigo Tarucha,
A fault-tolerant addressable spin qubit in a natural silicon quantum dot,
Science Advances 2, e1600694 (2016).

概要: 耐障害性をもつ量子コンピューティングのためには高忠実度な量子ビットが必要である。これまで同位体制御を施したシリコン量子ドットにおいては高忠実度操作が実現されているが、工業的に標準の自然同位体比のシリコンでは、残留核スピンのために位相緩和が起こってしまう。これを回避するために、私たちは微小磁石を使って電子スピン操作を高速化し、自然同位体比のシリコン量子ドットにおいても高忠実度な量子ビットを実現した。微小磁石デザインを最適化することにより、従来より2ケタ高速な、35MHzまでのラビ振動を観測した。10MHzのラビ振動の条件でランダマイズドベンチマーキングを行ったところ、忠実度が99.6%であることが分かり、自然同位体比のシリコン量子ドットにおける最高忠実度を実現した。この結果は量子コンピューティングの工業応用に重要であり、またこの手法は同位体制御を施したシリコン量子ビットにも適用可能である。