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A01公募班(2016-2017)

論文等 | 原著論文

2017

*Tomohiro Otsuka, Takashi Nakajima, Matthieu R. Delbecq, Shinichi Amaha, Jun Yoneda, Kenta Takeda, Giles Allison, Peter Stano, Akito Noiri, Takumi Ito, Daniel Loss, Arne Ludwig, Andreas D. Wieck, and *Seigo Tarucha,
Higher-order spin and charge dynamics in a quantum dot-lead hybrid system,
Scientific Reports 7, 12201-1-7 (2017).

概要: 開放量子系におけるダイナミクスの理解は、基礎物理や量子デバイス等への応用の観点から重要となる。半導体量子ドットは外界との結合を含め、様々なパラメータを制御できるため、開放量子系における物理を調べる良い実験系となる。私たちはミクロ系における高速状態測定を使って、量子ドットが電極と結合した複合系におけるスピンと電荷のダイナミクスを測定した。この結果、外界への一次と二次のトンネル過程によりスピンと電荷状態が時間的に変化する様子を観測し、中間状態を介したスピンダイナミクスを明らかにした。これらの結果は、量子ドット複合系におけるさらなるダイナミクスの解明や、外界との結合を利用したスピン状態操作、開放量子系のシミュレーション等において有用となる。 【大塚朋廣:実験の実施、結果の解析】

*Hironori Hoshino, Shin Nakamura,
Phenomenological construction of new dictionaries for holographic conductors,
Physical Review D 96, 066006 (2017).

概要: 本論文では熱浴と相互作用する荷電粒子多体系に外部電場が印加された場合の非平衡定常状態をゲージ・重力対応を用いて考察した。特にこの系における荷電粒子の平均速度をゲージ・重力対応の枠内で計算する手法を提案し、平均速度が非平衡定常状態でのゆらぎのスペクトルに与える影響を解析した。 【星野紘憲(共同研究者)】

*Akito Noiri, Kento Kawasaki, Tomohiro Otsuka, Takashi Nakajima, Jun Yoneda, Shinichi Amaha, Matthieu Delbecq, Kenta Takeda, Giles Allison, Arne Ludwig, Andreas D. Wieck, and *Seigo Tarucha,
A triangular triple quantum dot with tunable tunnel couplings,
Semiconductor Science and Technology 32, 084004-1-5 (2017).

概要: 半導体量子ドットの二次元配列はスピン相関の研究や量子コンピュータ素子の作製において有用な系となる。私たちは量子ドットが三角形に配置された三重量子ドットを作製した。三重量子ドットに囲まれる微小領域のサイズはアハラノフボーム効果により推定し、さらに量子ドットをお互いに近く配置することにより量子ドット間にトンネル結合を持たせることができた。また私たちは量子ドット内の電荷状態やドット間のトンネル結合が、電極電圧の操作により制御できることを確認した。

Takahiro Ishida, Yohann Duguet, and *Takahiro Tsukahara,
Turbulent bifurcations in intermittent shear flows: From puffs to oblique stripes,
Physical Review Fluids 2, 073902 (2017).

概要: 壁せん断流の亜臨界遷移においては,パフや縞状の局在乱流を形成することが知られ,本論文では圧力勾配駆動の二重円管内環状流に見られる間欠乱流構造の調査をした.大規模な構造を呈することから,これを捉えるに十分大きな計算領域を用いて,直接数値解析(乱流モデル不要)を行った.二円筒の円筒比ηが重要なパラメータの1つになるが,円筒比が1に近ければ平行平板間流に漸近し乱流縞(螺旋乱流)が,円筒比が小さければ円管内流のパフを呈するものと期待できるが,それを実際に数値解析により確認した.さらに,それら構造間の分岐点を大規模二次流れの非対称性を統計的に解析し,大規模パターンを形成する必要要素について議論した.

*Takashi Nakajima, Matthieu R. Delbecq, Tomohiro Otsuka, Peter Stano, Shinichi Amaha, Jun Yoneda, Akito Noiri, Kento Kawasaki, Kenta Takeda, Giles Allison, Arne Ludwig, Andreas D. Wieck, Daniel Loss, and *Seigo Tarucha,
Robust single-shot spin measurement with 99.5% fidelity in a quantum dot array,
Physical Review Letters 119, 017701-1-6 (2017).

概要: 私たちは半導体量子ドット中の二電子のスピン状態を、高い精度で、電場や磁場のゆらぎに頑強な形で読み出す方法を開発した。この方法では緩和時間の長い電荷中間状態を利用して、電荷信号強度を増強する。そして電荷測定エラーとスピン電荷変換エラーをそれぞれ評価した。この新しい読み出し手法はガリウムヒ素やシリコンなどを用いた量子ドット列に対して広く適用可能である。

2016

*Takumi Ito, Tomohiro Otsuka, Shinichi Amaha, Matthieu R. Delbecq, Takashi Nakajima, Jun Yoneda, Kenta Takeda, Giles Allison, Akito Noiri, Kento Kawasaki, and Seigo Tarucha,
Detection and control of charge states in a quintuple quantum dot,
Scientific Reports 6, 39113 (2016).

概要: 半導体量子ドットを用いて有用なデバイスを作り出すためには、系の大規模化が重要となる。私たちは3重量子ドットに対して1つの電荷センサーと2つの電極を用いた構造を基本ユニットとして提唱し、実際に5重量子ドットを作製してその動作を確認した。5重量子ドットの電荷状態を観測し、またその状態を計算により再現した。この結果は大規模な多重量子ドット系を実現するのに重要となる。

*Tomohiro Otsuka, Takashi Nakajima, Matthieu R. Delbecq, Shinichi Amaha, Jun Yoneda, Kenta Takeda, Giles Allison, Takumi Ito, Retsu Sugawara, Akito Noiri, Arne Ludwig, Andreas D. Wieck, and Seigo Tarucha,
Single-electron Spin Resonance in a Quadruple Quantum Dot,
Scientific Reports 6, 31820 (2016).

概要: 半導体量子ドット中の電子スピンは、量子情報処理に向けた量子ビットの候補として注目を集めている。スピン状態の初期化、操作、読み出し等の基本的な必要操作は既に実現されており、次に量子ドット系を大規模化し、そこでのスピン操作を実行することが重要となっている。私たちは4重量子ドットを用いて単一電子スピン共鳴を実現した。微小磁石が作り出す磁場勾配の中に、少数電子4重量子ドットを形成し、さらにマイクロ波を印加して量子ドットの位置を振動させることにより、電子スピン共鳴を誘起した。この結果、4つの量子ドットに対応する電子スピン共鳴が観測された。また微小磁石の磁場のためこれらの共鳴線が少しずつシフトしていることを利用して、周波数等でアドレス可能な単一電子スピン操作を実現した。

*Kenta Takeda, Jun Kamioka, Tomohiro Otsuka, Jun Yoneda, Takashi Nakajima, Matthieu R. Delbecq, Shinichi Amaha, Giles Allison, Tetsuo Kodera, Shunri Oda, and Seigo Tarucha,
A fault-tolerant addressable spin qubit in a natural silicon quantum dot,
Science Advances 2, e1600694 (2016).

概要: 耐障害性をもつ量子コンピューティングのためには高忠実度な量子ビットが必要である。これまで同位体制御を施したシリコン量子ドットにおいては高忠実度操作が実現されているが、工業的に標準の自然同位体比のシリコンでは、残留核スピンのために位相緩和が起こってしまう。これを回避するために、私たちは微小磁石を使って電子スピン操作を高速化し、自然同位体比のシリコン量子ドットにおいても高忠実度な量子ビットを実現した。微小磁石デザインを最適化することにより、従来より2ケタ高速な、35MHzまでのラビ振動を観測した。10MHzのラビ振動の条件でランダマイズドベンチマーキングを行ったところ、忠実度が99.6%であることが分かり、自然同位体比のシリコン量子ドットにおける最高忠実度を実現した。この結果は量子コンピューティングの工業応用に重要であり、またこの手法は同位体制御を施したシリコン量子ビットにも適用可能である。