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A01公募(2014-15) 喜多 理王

論文等 | 原著論文

2017

Isala Dueramae, Shingo Fukuzawa, Naoki Shinyashiki, Shin Yagihara, *Rio Kita,
Dynamics of amyloid-like aggregation and gel formation of hen egg-white lysozyme in highly concentrated ethanol solution,
Journal of Biorheology 31, 21-28 (2017).

概要: アミロイド形成メカニズムを調べるモデル系として卵白アルブミンを高濃度エタノール水溶液において調製し、アミロイド様棒状凝集体の成長過程を光散乱法を用いて測定した。時間経過とともに卵白アルブミンの変性過程、βシート構造の獲得とフィブリルおよびファイバー形成過程、そしてゲル化過程の存在を明らかにした。ゲルの3次元ネットワーク構造を散乱光強度の自己相関関数およびSEM画像から解析した。

Doreen Niether, Tsubasa Kawaguchi, Jana Hovancova, Kazuya Eguchi, Jan K. G. Dhont, *Rio Kita, and *Simone Wiegand,
Role of hydrogen bonding of cyclodextrin-drug complexes probed by thermodiffusion,
Langmuir 33, 8483-8492 (2017).

概要: 温度勾配下において観察される濃度勾配形成現象をシクロデキストリン(CD)および内包物質としてアセチルサリチル酸(ASA)を用いて調べた。CD/ASA/水の三成分混合系における熱拡散現象を系統的に調べることによって、複合体形成に与える水素結合の影響および複合体形成がソレー係数(濃度勾配形成能)に与える影響を系の疎水性/親水性を考慮することで整理できることが明らかとなった。

Isala Dueramae, Masaru Yoneyama, Naoki Shinyashiki, Shin Yagihara, and *Rio Kita,
Self-assembly of acetylated dextran with various acetylation degrees in aqueous solutions: Studied by light scattering,
Carbohydrate Polymers 159, 171-177 (2017).

概要: アセチル化度を変化させたデキストランを調製し、水中での自己集合体形成現象を光散乱法によって調べた。アセチル化度を増加させると、集合体の分子量と分子サイズは増加傾向を示した後に減少した。動的光散乱法にて、1本鎖と集合体が共存することが明らかになり、その比率はアセチル化度に依存した。これはナノ粒子のサイズを制御する基礎的知見となる。

2016

Kazuya Eguchi, Doreen Niether, Simone Wiegand, and *Rio Kita,
Thermophoresis of cyclic oligosaccharides in polar solvents,
European Physical Journal E 39, 86/1-8 (2016).

概要: シクロデキストリン(α、β、γ、methyl-β-)の水溶液およびホルムアミド溶液のルードヴィッヒ・ソレー効果をIR-TDFRS法を用いて調べた。α、βとγ-シクロデキストリン水溶液は低温側で負のソレー係数を示し、昇温により正の値へ符号が変化した。一方、ホルムアミドを溶媒とした際は常に正のソレー係数を示した。各系における水素結合形成能の違いおよび分配係数を導入することで、本システムにおけるルードヴィッヒ・ソレー効果のふるまいを詳細に議論した。

Kaito Sasaki, Yurika Matsui, Masahiko Miyara, Rio Kita, Naoki Shinyashiki, and Shin Yagihara,
Glass transition and dynamics of the polymer and water in the poly(vinylpyrrolidone)−water mixtures studied by dielectricrelaxation spectroscopy,
Journal of Physical Chemistry B 120, 6882-6889 (2016).

概要: 誘電分光法とDSC法を用いて高分子水溶液中の水と高分子のダイナミクスを調べた。PVPのセグメント運動と水分子の分子運動を起源とする2種類の緩和過程が観測され、ガラス転移点近傍での各緩和過程の温度依存性のふるまいと協同運動性について詳細に解析した。

Kaito Sasaki, Rio Kita, *Naoki Shinyashiki, and Shin Yagihara,
Dielectric relaxation time of ice-Ih with different preparation,
Journal of Physical Chemistry B 120, 3950-3953 (2016).

概要: 氷(ice-Ih)の誘電緩和現象は多くの研究成果が報告されているが、誘電緩和時間の温度依存性はグループによって異なった結果を提示しており統一的な解釈の妨げとなっていた。本報告では水の結晶化を異なった調製法を用いて調べることで、結晶成長速度や不純物の効果などを明らかにし、これまでのグループ間で異なった誘電緩和時間を示す原因を突き止めることに成功した。

Yasutaka Ohnishi, Rio Kita, Kazuyoshi Tsuchiya and *Satoru Iwamori,
Optical characteristics of poly(tetrafluoroethylene) thin film prepared by a vacuum evaporation,
Japanese Journal of Applied Physics 55, 02BB04/1-5 (2016).

概要: ポリエチレンテレフタレート(PTFE)薄膜を真空蒸着法を用いてガラス基板上に作製するための条件を探索し、透明および不透明なPTFE薄膜の創製に成功した。結晶性やガラス転移温度など物性を詳細に調べることで、真空蒸着法で作製されたPTFE薄膜の分子構造と透明性の関係を明らかにした。

2015

Kousaku Maeda, Naoki Shinyashiki, Shin Yagihara, Simone Wiegand, and *Rio Kita,
Ludwig-Soret effect of aqueous solutions of ethylene glycol oligomers, crown ethers, and glycerol: Temperature, molecular weight, and hydrogen bond effect,
Journal of Chemical Physics 143, 124504/1-7 (2015).

概要: 熱泳動現象(ルードヴィッヒ・ソレー効果)をエチレングリコール、クラウンエーテルそしてグリセロール水溶液を用いて、その温度依存性を調べた。ソレー係数S_Tと熱(物質)拡散係数D_Tの温度依存性はすべての系において直線的であり、その大きさと傾きは溶質の種類と分子量に依存した。すべてのサンプルはエーテル基または水酸基を有することから、水素結合を形成する際のプロトンアクセプターまたはドナーとしてふるまう。本研究では、プロトン授受のサイト数と溶質分子量を考慮した経験式を提唱し、これを用いることで水素結合サイト数、分子量、温度がルードヴィッヒ・ソレー効果に果たす役割を明らかにした。

S. K. Kundu, S. Choe, K. Sasaki, Rio Kita, N. Shinyashiki, and *S. Yagihara,
Relaxation dynamics of liposomes in an aqueous solution,
Physical Chemistry Chemical Physics 17, 18449-18455 (2015).

概要: 熱測定と誘電分光測定によりリポソームのゲル-液晶相転移の温度依存性と周波数依存性を調べた。測定周波数40 Hz-30 GHzの中に4つの誘電緩和モードが観察された。各緩和プロセスを詳細に解析することにより、昇温によるゲル相から液晶相への転移について各モードの分子論的起源の同定と分子ダイナミクスに関する新たな描像を得た。ここで得られた知見はリポソームの温度勾配下における輸送現象データの解釈に重要な役割を果たす。

Wataru Yamamoto, Kaito Sasaki, Rio Kita, Shin Yagihara, and *Naoki Shinyashiki,
Dielectric study on temperature-concentration superposition of liquid to glass in fructose-water mixtures,
Journal of Molecular Liquids 206, 39–46 (2015).

概要: 広帯域誘電分光法を用いて、フルクトース水溶液を広い濃度範囲および広い温度範囲において測定し、アルファ緩和とミュー緩和を定量的に測定・解析した。液体状態からガラス転移を含む条件において、各緩和過程のふるまいが温度―濃度の換算が可能であることを見出した。

2014

Kousaku Maeda, Naoki Shinyashiki, Shin Yagihara, Simone Wiegand, *Rio Kita,
How does thermodiffusion of aqueous solutions depend on concentration and hydrophobicity?,
European Physical Journal E 37, 94(6pages) (2014).

概要: エチレングリコール類の水溶液のthermal diffusionを強制Rayleigh散乱法で調べた。ソレー係数の溶質濃度依存性は大きく2つの領域に分けらたが、すべての溶液において濃度の増加によりソレー係数の符号が正から負へ変化した。各サンプルの符号が変化する濃度は、化学構造や分配関数で整理され、中でも溶質が持つ水酸基数が重要な因子であることが明らかになった。

Kaito Sasaki, Masahiko Miyara, Rio Kita, *Naoki Shinyashiki, and Shin Yagihara,
Dynamics of water in the partially crystallized gelatin water mixture,
Journal of Advanced Science 24, 41-44 (2014).

概要: 水の誘電緩和過程をゼラチン水溶液において凝固温度付近において観測した。凝固温度以下において、結晶化した水と不凍水そして不凍水相のなかに存在する水和ゼラチンが確認された。凝固前後では緩和強度、緩和時間、緩和時間分布の温度依存性が大きく異なっており、これはゼラチンの凍結濃縮によることが明らかとなった。