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A02-002平野グループ

論文等 | 原著論文

2017

Hiroki Saito,
Solving the Bose-Hubbard model with machine learning,
Journal of the Physical Society of Japan 86, 093001/1-4 (2017).

概要: 最近、ニューラルネットワークと機械学習を用いて量子多体問題の基底状態を求めるという研究がなされた。これにヒントを得て、この方法を格子上のボース粒子に適用できるように拡張した。得られた多体基底状態は厳密解と非常に良く一致することがわかった。また、厳密対角化が難しいような大きな系にも適用し、平均場近似よりも良い結果が得られることがわかった。

Masaya Kato, Xiao-Fei Zhang, and *Hiroki Saito,
Vortex pairs in a spin-orbit coupled Bose-Einstein condensate,
Physical Review A 95, 043605/1-7 (2017).

概要: スピン軌道相互作用のある2成分ボース・アインシュタイン凝縮体における量子渦の性質を調べた。通常のボース・アインシュタイン凝縮体に比べて渦の周りの速度場がスピン軌道相互作用によって大きく影響を受けることを明らかにした。これによって渦対が興味深い運動をすることを見出した。

Xiao-Fei Zhang, Masaya Kato, Wei Han, Shou-Gang Zhang, and Hiroki Saito,
Spin-orbit-coupled Bose-Einstein condensates held under a toroidal trap,
Physical Review A 95, 033620 (2017).

概要: スピン軌道相互作用するボース・アインシュタイン凝縮体をリング型トラップに閉じ込めたときの基底状態を求めた。中央の穴が小さい場合は従来のストライプ状態となり、穴を大きくしていくとリングに沿ったストライプとなることを見出した。また、量子多体状態を解析的に求め、フラグメントBECができることを明らかにした。

2016

*Xiao-Fei Zhang, Wei Han, Hai-Feng Jiang, Wu-Ming Liu, Hiroki Saito, and Shou-Gang Zhang,
Topological defect formation in rotating binary dipolar Bose-Einstein condensate,
Annals of Physics 375, 368-377 (2016).

概要: 磁気双極子相互作用する2成分ボース・アインシュタイン凝縮体が回転する光格子ポテンシャルに閉じ込められた場合の基底状態を研究した。系のパラメータによって様々なトポロジカル構造が現れることを見出した。

Masaya Kato, Xiao-Fei Zhang, Daichi Sasaki, and Hiroki Saito,
Twisted spin vortices in a spin-1 Bose-Einstein condensate with Rashba spin-orbit coupling and dipole-dipole interaction,
Physical Review A 94, 043633/1-6 (2016).

概要: 磁気双極子相互作用を持ち、かつスピン・軌道相互作用をするスピン1のボース・アインシュタイン凝縮体の基底状態の相図を明らかにした。磁気双極子相互作用とスピン・軌道相互作用の競合により、スピン渦が空間的にねじれたような新規な磁性相が存在することを見出した。

Hiroki Saito and Rina Kanamoto,
Self-rotation and synchronization in exciton-polariton condensates,
Physical Review B 94, 165306 (2016).

概要: 半導体量子井戸中の励起子ポラリトン凝縮体のダイナミクスを研究した。ある条件のもとで凝縮体の波束が自励振動を起こし、自ら回転することを見出した。さらに2つの波束の回転がシンクロし周波数引き込みが起こることを見出した。

*Wei Han, Xiao-Fei Zhang, Shu-Wei Song, Hiroki Saito, Wei Zhang, Wu-Ming Liu, and Shou-Gang Zhang,
Double-quantum spin vortices in SU(3) spin-orbit coupled Bose gases,
Physical Review A 94, 033611/1-9 (2016).

概要: SU(3)型のスピン軌道相互作用を持つスピン1のBECを実現する方法を提案した。さらに、その系の基底状態がスピン渦の格子状態になることを示し、二重スピン渦が基底状態であることを明らかにした。

*Yujiro Eto, Masahiro Takahashi, Masaya Kunimi, Hiroki Saito, and Takuya Hirano,
Nonequilibrium dynamics induced by miscible-immiscible transition in binary Bose-Einstein condensates,
New Journal of Physics 17, 0703029/1-6 (2016).

概要: 多成分流体の空間的な構造形成は、非平衡過程や非線型現象を理解する上で重要な効果の1つである。本論文では、相分離ダイナミクスとスピン遷移を利用することで、混ざり合う2成分のボース・アインシュタイン凝縮体の空間構造を制御し、パターン形成ダイナミクスを誘起することに成功した。

Hiroki Saito,
Path-integral Monte Carlo study on a droplet of a dipolar Bose-Einstein condensate stabilized by quantum fluctuation,
Journal of the Physical Society of Japan 85, 053001 (2016).

概要: 最近、Stuttgartの実験グループによりDysprosiumのボース・アインシュタイン凝縮体で強い双極子相互作用によるパターン形成が観測された。本研究では、パターンの構成要素となる単一のドロップレットが量子ゆらぎによって安定化されることを量子多体計算で示した。 

*Yujiro Eto, Masahiro Takahashi, Keita Nabeta, Ryotaro Okada, Masaya Kunimi, Hiroki Saito, and Takuya Hirano,
Bouncing motion and penetration dynamics in multicomponent Bose-Einstein condensates,
Physical Review A 93, 033615/1-6 (2016).

概要: 衝突する多成分ボース・アインシュタイン凝縮体 (BEC) において引き起こされる成分間の反発や相互通過などの動的な特性が、多成分系の混和性とどのような関係を持つのかについて研究を行った。混ざり合わない性質を持つBECの相互通過や混ざり合うBEC間での反発やドメイン形成など、非直感的な振る舞いが実験的に観測された。グロスピタエフスキー方程式による理論シミュレーションから、BECの相互通過時間は、散乱長をわずかに変えることで制御可能であることが明らかになった。 【衛藤雄二郎(連携研究者)、高橋雅裕(連携研究者)、斎藤弘樹(研究分担者)、平野琢也(研究代表者)】

Tomoya Kaneda and Hiroki Saito,
Collision dynamics of Skyrmions in a two-component Bose-Einsteincondensate,
Physical Review A 93, 033611/1-6 (2016).

概要: 二成分BECにおいて二つのskyrmionが衝突するダイナミクスを数値的に調べた。衝突前後でトポロジカルな巻数が保存し、複数のskyrmionに分裂することがわかった。

Kui-Tian Xi and Hiroki Saito,
Droplet formation in a Bose-Einstein condensate with strong dipole-dipole interaction,
Physical Review A 93, 011604(R) (2016).

概要: 最近、Stuttgartの実験グループによって、Dy原子のボース・アインシュタイン凝縮体における磁気双極子相互作用によるパターン形成が観測された。本論文では、三体衝突を取り入れた平均場理論により実験結果が良く再現できることを示した。

2015

*Hiroki Saito,
Can we swim in superfluids?: Numerical demonstration of self-propulsion in a Bose-Einstein condensate,
Journal of the Physical Society of Japan 84, 114001/1-6 (2015).

概要: 超流動体の中で、自ら変形する物体が自己推進できるかを数値的に研究した。時間反転非対称な変形の場合には超流動体を乱さずに推進することがわかった。速い変形の場合には量子渦や励起を放出して自己推進が可能であることがわかった。

*Yujiro Eto, Masaya Kunimi,Hidekatsu Tokita,Hiroki Saito, and Takuya Hirano,
Suppression of relative flow by multiple domains in two component Bose-Einstein condensates,
Physical Review A 92, 013611/1-5 (2015).

概要: 混ざり合わない性質を持つ2成分ボース・アインシュタイン凝縮体 (BEC) の流動特性と空間構造形成の関係に関する研究を行った。混ざり合わない性質を持つ2成分BEC中で生成されるドメイン構造が、磁場勾配により引き起こされるBEC間の相対的な流れを抑える効果を生むことを明らかにした。 【衛藤雄二郎(連携研究者)、斎藤弘樹(研究分担者)、平野琢也(研究代表者)】

*Hiroki Saito and Masaya Kunimi,
Energy shift of magnons in a ferromagnetic spinor-dipolar Bose-Einstein condensate,
Physical Review A 91, 041603(R)/1-4 (2015).

概要: 最近、UCバークレーの実験グループがスピン1BECにおいてマグノンの分散関係を精密に測定した[G. E. Marti et al., Phys. Rev. Lett. 113, 165301 (2014)]。その結果、マグノンの質量が予想より大きいことがわかった。我々は磁気双極子相互作用が入った平均場方程式を解くことで実験結果を再現し、さらにマグノンの質量が軽くなるような実験セットアップも提案した。

Masaya Kunimi* and Hiroki Saito,
Upper bound of one-magnon excitation and lower bound of effective mass for ferromagnetic spinor Bose and Fermi gases,
Physical Review A 91, 043624/1-6 (2015).

概要: 変分法を用いて基底状態が完全スピン偏極したspinor BoseガスとFermiガスにおける1マグノン励起のエネルギーの上限を厳密に求めた。 【斎藤弘樹(研究内容について議論)】

2014

*Masaya Kunimi,
Metastable spin textures and Nambu-Goldstone modes of a ferromagnetic spin-1 Bose-Einstein condensate confined in a ring trap,
Physical Review A 90, 063632/1-8 (2014).

概要: 回転するリングトラップ中に閉じ込められたスピン1のBose凝縮体について平均場理論を用い研究を行った。その結果として、準安定なスピンテクスチャー状態の解析解を得た。また,このスピンテクスチャー状態において、Nambu-Goldstoneモードの数が回転速度を変えると、連続対称性の変化を伴うこと無く、ある速度で変化することを示した。 【斎藤弘樹:研究内容について議論】

Tomoya Kaneda and Hiroki Saito,
Dynamics of a vortex dipole across a magnetic phase boundary in a spinor Bose-Einstein condensate,
Physical Review A 90, 053632/1-7 (2014).

概要: スピン1のボース凝縮体において、強磁性相とポーラー相が空間的に分離している状態を考え、量子渦対の運動を数値的に調べた。量子渦対が相境界を通過すると、様々なスピン渦に変化することを見出した。

*Yujiro Eto, Mark Sadgrove, Sho Hasegawa, Hiroki Saito, and Takuya Hirano,
Control of spin current in a Bose gas by periodic application of π pulses,
Physical Review A 90, 013626/1-6 (2014).

概要: 87ルビジウム原子気体のスピン2ボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)におけるスピン流の観測及び、周期的なラジオ波 π パルスの印加によるスピン流の制御に成功した。スピン流はスピン偏極を破壊し、スピン交換衝突や非弾性衝突を誘起するが、周期的にラジオ波パルスを印加し、スピン流の流れる方向を制御することで、それらの効果を抑圧することができることを示した。本実験により、空間的な磁場の不均一性によりBEC中にスピン流が生成されたとしても、ラジオ波 π パルスを用いることにより、長寿命スピンコヒーレンスが実現可能であることが証明された。【衛藤雄二郎(連携研究者)、斎藤弘樹(研究分担者)、平野琢也(研究代表者)】

Tsuyoshi Kadokura, Jun Yoshida, and Hiroki Saito,
Hysteresis in quantized vortex shedding,
Physical Review A 90, 013612/1-5 (2014).

概要: 超流動体中を障害物ポテンシャルが運動するシミュレーションを行った。ある速度領域において、定常的な層流の状態と周期的に量子渦が生成される状態の間に双安定性が存在することを示した。

Masahiro Takahashi, Takeshi Mizushima, and Kazushige Machida,
FFLO Multi-Phase Transition in Two-Band Superconductor,
JPS Conference Proceedings 3, 015022 (2014).

概要: パウリ極限での2バンド超伝導体について、その磁場-温度相図を計算した。シングルバンドの超伝導体では低磁場下でBardeen-Cooper-Schrieffer状態、高磁場下でFulde-Ferrell-Larkn-Ovchinnikov(FFLO)状態が実現することが分かっている。本研究では、2バンドの系において、特に高磁場下でシングルバンドのときのそれと異なるFFLO状態が実現することを理論的に予測した。これは、マルチバンドでの超伝導体を理解する上で重要な手掛かりになると期待する。

*Hiroki Saito,
Comment on “Ground-state fragmentation phase transition for attractive bosons in anisotropic traps”,
Physical Review A 89, 067601/1-2 (2014).

概要: CizekとKasevichによる論文Phys. Rev. A 88, 063641 (2013)に対するコメントである。彼らは葉巻型トラップ中の引力BECにおいてフラグメンテーションが起こることを主張しているが、実際は解析法に問題があり、改善された方法を用いるとフラグメンテーションは見られないことを示した。

*Yujiro Eto, Hiroki Saito, and Takuya Hirano,
Observation of dipole-induced spin texture in an 87Rb spin-2 Bose-Einstein condensate,
Physical Review Letters 112, 185301/1-5 (2014).

概要: ボース・アインシュタイン凝縮体の内部スピン自由度を巧みに制御することにより、ルビジウム原子気体中での微弱な磁気双極子-双極子相互作用の効果を抽出・観測することに成功した。 3 mG/cmの勾配を持つ90 mGの外部磁場中で、横方向に偏極したスピノール凝縮体を準備し、その時間発展を観測した。 百数十ミリ秒経過後に、縦磁化の自発的な空間変調が観測された。この結果は、磁気双極子相互作用の効果を含むグロス・ピタエフスキー方程式によってのみ再現され、双極子により誘起される実効磁場中でのスピン回転の観測に対応する。 【衛藤雄二郎(連携研究者)、斎藤弘樹(研究分担者)、平野琢也(研究代表者)】(Editors's suggestionに選定された。)

*Masahiro Takahashi, Takeshi Mizushima, and Kazushige Machida,
Multi-band effects on Fulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov states of Pauli-limited superconductors,
Physical Review B 89, 064505/1-16 (2014).

概要: パウリ極限の超伝導体において、そこで実現すると思われる Fulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov (FFLO) 状態へのマルチバンドの効果について理論的に研究を行った。ここでは、2-バンドの系において、Bogoliubov-de Gennes 方程式を用いた平均場の理論を用いた。まず始めに、超伝導バンドと常伝導バンドを持つような系での相図がどうなるか探索した。常伝導バンドでも超伝導バンドからのクーパー対のトンネリングによって超伝導成分が誘起され、Lifshitz 点以下の磁場で Bardeen-Cooper-Schrieffer 状態から FFLO 状態への転移が起こることが分かった。次に、両バンドが超伝導バンドとして振る舞う場合についても調べた。FFLO 相は 2 つに分割されることが分かった。ある特定の条件では、分けられた片方の相がさらに分割されることが分かった。これは、複数の変調スケールが存在することに起因する。得られた相図は、単一バンドの場合と質的に違い、悪魔の階段構造を有する。

*Hiroki Saito,
Many-body dynamics of a Bose-Einstein condensate collapsing by quantum tunneling,
Physical Review A 89, 023610/1-6 (2014).

概要: 引力相互作用する原子のボース・アインシュタイン凝縮体のダイナミクスを直接的な量子多体計算によって調べた。準安定状態からの量子トンネル効果によって凝縮体が崩壊する様子を数値的に再現することに成功し、トンネル確率が相互作用係数や原子数などの関数として得られた。

Masahiro Takahashi, Takeshi Mizushima, and Kazushige Machida,
Fulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov States in Two-Band Superconductors,
Journal of the Physical Society of Japan 83, 023703/1-5 (2014).

概要: 超伝導に 2 つのバンド内の電子が寄与するパウリ極限の超伝導体について、Fulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov (FFLO) 状態の磁場-温度相図について研究を行った。結果として、高磁場で Q_1-FFLO、低磁場で Q_2-FFLO という 2 つの相に FFLO 相が分かれることが分かった。これは、2 つの異なる振動スケールが競合することに起因する。Q_2-FFLO はさらに無限に多くの FFLO 相に分裂することが分かった。これは、分数比の振動スケールで記述され、磁場に対して物理量が悪魔の階段的になることを示している。FFLO 状態を安定化される臨界磁場は単一バンドの超伝導体よりも低くなり、FFLO 状態がより安定化することも分かった。一方で、三重臨界点の Lifshitz point の温度は相互作用等のパラメーターに依らず一定となる。

2013

*Yujiro Eto, Hayato Ikeda, Hirosuke Suzuki, Sho Hasegawa, Yasushi Tomiyama, Sawako Sekine, Mark Sadgrove, and Takuya Hirano,
Spin-echo-based magnetometry with spinor Bose-Einstein condensates,
Physical Review A 88, 031602(R)/1-4 (2013).

概要: 本論文において、我々は、87ルビジウム原子気体のスピン2ボース・アインシュタイン凝縮体にスピンエコーの技術を応用することにより、微弱な交流磁場の検出を実現した。達成した磁場感度は、100μ㎡の空間分解能に対して12pT/√Hzであった。開発した交流磁力計を用いて、実験室内の電源ラインに同期した交流磁場ノイズを検出した。更に、交流磁場ノイズと逆位相の磁場を人為的に印加することにより、磁場ノイズを1nTオーダーまで大きく低減することに成功した。これらのボース凝縮体交流磁力計は、真空装置内に時間的に安定な磁場環境を作る上で非常に重要な技術となる。