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A02公募班(2014-2015)

論文等 | 原著論文

2015

*Kazuya Saito, Mafumi Hishida, and Yasuhisa Yamamura,
A Possible Critical Point for Nematic Order on the Basis of Landau Free Energy Having Dual Instabilities for Nano-Segregated Smectic Liquid Crystal”,
Soft Matter 11, 8493-8498 (2015).

概要: ネマチック秩序とスメクチック秩序(ナノ相分離)に対する不安定性の両方を持つ系において,(これまでに検討されてこなかった)後者がより強い場合の挙動を調べた.ネマチック秩序の対称性から3次項が存在するにもかかわらず,あるパラメータ領域で1次相転移が消失する可能性を指摘した. 【菱田真史(結果の解釈)、山村泰久(結果の解釈)、齋藤一弥(研究立案,結果の解釈ならびに論文の構成)】

Toshiyuki Hosoya, Martin Miranda, Ryotaro Inoue and *Mikio Kozuma,
Injection locking of a high power ultraviolet laser diode for laser cooling of ytterbium atoms,
Review of Scientific Instruments 86, 073110/1-4 (2015).

概要: 我々は、紫外半導体レーザーを用いて、イッテルビウム(Yb)原子のレーザー冷却に適用可能な、波長399nmの高出力レーザー光源を開発した。外部共振器型半導体レーザーを用いて出力40mWの種光を準備し、別の半導体レーザーに注入同期をかけることで、220mWの出力を得ることに成功した。我々が開発した、「注入同期を最適化するための系統的な手法」は、他波長の高出力半導体レーザーに対しても適用することができ、可搬型光格子時計を始めとする各種レーザー冷却実験の光源として有用と考えられる。

Martin Miranda, Ryotaro Inoue, Yuki Okuyama, Akimasa Nakamoto, and *Mikio Kozuma,
Site-resolved imaging of ytterbium atoms in a two-dimensional optical lattice,
Physical Review A 91, 063414/1-6 (2015).

概要: 我々は2次元光格子中にトラップされた冷却Yb原子気体に対する量子気体顕微鏡を世界で初めて実現した。Yb特有の紫外域における双極子光学遷移(波長399nm)と固浸レンズとを利用することで、光格子の各サイト(サイト間隔544nm)を分解して個々の原子を観測することに成功した。サイトが空であることを正しく判定できる確率は99%以上と見積もられた。またサイトを単一原子が占有していることを正しく判定できる確率は90%と見積もられた。【2015年7月24日付の科学新聞に掲載】

*Kazue Kudo and Yuki Kawaguchi,
Coarsening dynamics driven by vortex-antivortex annihilation in ferromagnetic Bose-Einstein condensates,
Physical Review A 91, 053609/1-8 (2015).

概要: 強磁性ボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)は2次ゼーマンエネルギーによって磁気異方性が変化する。このエネルギーが正ならXY模型的となり、ドメイン成長はXY模型と同様に渦対の消滅によって駆動される。しかし、BECには超流動的な流れがあるため対消滅できる渦対の種類が複数あり、XY模型の場合よりも複雑である。本研究では、2次元XY模型のドメイン成長則を基にして、強磁性BECにおけるドメイン成長則を導出した。 【川口由紀(GP方程式による数値シミュレーション)】

Mafumi Hishida, Asami Endo, Koyomi Nakazawa, Yasuhisa Yamamura, and *Kazuya Saito ,
Effect of n-alkanes on lipid bilayers depending on headgroups,
Chemistry and Physics of Lipids 188, 61-67 (2015).

概要: りん脂質二重膜に鎖長の異なる直鎖アルカンを添加した効果がリン脂質の頭部構造に大きく依存することを明らかにした.相転移温度の解析からリン脂質頭部依存性がエンタルピー的相互作用の変化に起因することを明らかにした.この依存性はゲル相の構造変化に由来している. 【菱田真史(研究の立案と実施、原稿の執筆)、山村泰久(結果の解釈)、齋藤一弥(結果の解釈ならびに論文の構成)】

*Daisuke Takahashi, Michikazu Kobayashi, and Muneto Nitta,
Nambu-Goldstone Modes Propagating along Topological Defects: Kelvin and Ripple Modes from Small to Large Systems,
Physical Review B 91, 184501-1-19 (2015).

概要: 渦や磁壁に局在した、時空対称性の破れに起因する南部・ゴールドストーンモードは、従来の内部自由度の対称性の破れに起因するものとは違って、無限系において分数分散を持つ可能性がある。我々は整数分散を与える有限系と分数分散を与える無限系をつなぐ補完公式を解析的に得ることに成功し、数値計算との定量的な一致を得た。

*Wataru Kurebayashi, Sho Shirasaka, and Hiroya Nakao,
A criterion for timescale decomposition of external inputs for generalized phase reduction of limit-cycle oscillators,
Nonlinear Theory and Its Applications (IEICE) 6, 171-180 (2015).

概要: 著者らが以前発展させた強い摂動を受ける非線形振動子に対する位相縮約(Kurebayashiら、PRL111, 2013)において、振動子への摂動を速い成分と遅い成分に分離するための基準を提案した。具体的な振動子モデルに対する数値シミュレーションによりその妥当性を確認した。

Takuya Yanagimachi, Mafumi HIshida, Yasuhisa Yamamura, and Kazuya Saito,
Ultraslow oscillation of nematic disclination after abrupt switching of DC voltage,
Journal of the Physical Society of Japan 84, 033601/1-4 (2015).

概要: ネマチック液晶セルに急激に直流電場を印加した後の転傾(位相欠陥)の運動を観察し,数百秒にわたる振動的緩和現象が発生することを見出した.この振動の見かけの周期は振幅が小さいほど長かった.非線形な弾性場の中で振動する有限質量の転傾モデルを用いて現象論的に解析を行った. 【菱田真史(結果の解釈)、山村泰久(結果の解釈ならびに論文の構成)、齋藤一弥(結果の解釈ならびに論文の構成)】

*Yoji Kawamura, Hiroya Nakao,
Phase description of oscillatory convection with a spatially translational mode,
Physica D: Nonlinear Phenomena 295-296, 11–29 (2015).

概要: 空間周期的な薄いHele-Shawセル中の振動熱対流に対して、対流の位置の空間並進モードと振動の時間並進モードとの両者を考慮したふたつの位相に対する縮約方程式を導出し、それぞれの位相の感受関数を求めた。応用として、その種の振動熱対流がふたつ結合した系の同期現象を議論した。

2014

*Michikazu Kobayashi, and Muneto Nitta,
Nonrelativistic Nambu-Goldstone Modes Associated with Spontaneously Broken Space-Time and Internal Symmetries,
Physical Review Letters 113, 120403/1-5 (2014).

概要: 我々は非相対論的な模型において、内部対称性および時空対称性の破れに対する2つの南部・ゴールドストーンモードが結合しうることを、一軸異方性を持った強磁性的O(3)シグマ模型を例にあげて示すことに成功した。 【Keio Research highlightとしてNatureで取り上げられた】

Mafumi Hishida, Yasuhisa Yamamura, and *Kazuya Saito,
Salt effects on lamellar repeat distance depending on head groups of neutrally charged lipids,
Langmuir 30, 10583-10589 (2014).

概要: 頭部に電荷を持たない脂質の二重膜の作るラメラ相を実験対象とし,液相に種々の塩を添加した場合の積層間隔の塩濃度依存性と膜のゼータ電位を調べた.実験で得られた顕著な膨潤は既存の理論的な枠組みで説明できず,水和構造への塩添加効果を[考慮する必要があることを示した. 【菱田真史(研究の立案と実施、原稿の執筆)、山村泰久(結果の解釈)、齋藤一弥(結果の解釈および論文の構成)】

Koyomi Nakazawa, Mafumi Hishida, Shigenori Nagatomo, Yasuhisa Yamamura, and *Kazuya Saito,
Interplay between phase transition of DPPC bilayer and photoisomerization of doped stilbene molecule,
Chemistry Letters 43, 1352-1354 (2014).

概要: 水中に分散したDPPC膜に光異性を示すスチルベン分子を添加して,二重膜のゲル−液晶相転移への添加分子の立体効果を調べた.シス体がトランス体に比べ相転移温度を大幅に下げることから,添加分子の長さだけでなく幅が重要な因子であることを示した.一方,二重膜中における光異性化挙動が相に強く依存することを明らかにし,相挙動と光異性化反応には相互規定性があることを指摘した. 【菱田真史(研究立案と実施)、山村泰久(実験結果の解釈)、齋藤一弥(結果の解釈ならびに原稿の構成)】

*Michikazu Kobayashi, and Muneto Nitta,
Nonrelativistic Nambu-Goldstone modes propagating along a Skyrmion line,
Physical Review D 90, 025010/1-9 (2014).

概要: 強磁性体もしくは相対論的なO(3)シグマ模型におけるスカーミオン上に励起された南部・ゴールドストーンモードの解析を行った。強磁性体中のスカーミオンの場合、スカーミオンに垂直な2つの並進モードが結合して、ひとつのケルビン波として伝搬する。またスカーミオンに局在した内部U(1)対称性と、拡大縮小変換に対する擬・南部・ゴールドストーンモードが結合して1つのゼロモードとなる。擬・南部・ゴールドストーンモードを考慮に入れることで、どちらのゼロモードももNielsen-Chadha関係式およびWatanabe-Brauner関係式を満たすことがわかった。

*Wataru Kurebayashi, Tsubasa Ishii, Mikio Hasegawa, and Hiroya Nakao,
Design and control of noise-induced synchronization patterns,
EPL (Europhysics Letters) 107, 10009/1-6 (2014).

概要: 非線形振動子集団の共通ノイズ同期現象において、フィルターによって共通ノイズのスペクトルを変えることにより、望ましい位相の分布を実現するような枠組みを提案した。いくつかの振動子モデルとノイズの例について、同期状態やクラスター状態を実現できることを数値的に示した。

*Hiroya Nakao, Tatsuo Yanagita, Yoji Kawamura,
Phase-Reduction Approach to Synchronization of Spatiotemporal Rhythms in Reaction-Diffusion Systems,
Physical Review X 4, 021032/1-23 (2014).

概要: 反応拡散系のリズミックな時空パターンを無限次元の相空間におけるリミットサイクル振動子と見なし、その位相縮約理論を提案した。進行パルスや局在振動スポット、スパイラルやターゲット等の典型的な時空パターンに対して位相応答特性を求め、それらのパターンの同期特性を説明した。

Michikazu Kobayashi, and *Eiji Nakano, and Muneto Nitta,
Color Magnetism in Non-Abelian Vortex Matter,
Journal of High Energy Physics 6, 130/1-12 (2014).

概要: 我々はハイゼンベルグ(反)強磁性体の拡張として、カラー磁性を提唱した。これはカラー超伝導体上の量子渦格子における渦芯中において実現され、(反)強磁性的相互作用は渦芯間相互作用によって決まる。

*Mafumi Hishida, Koichiro Tanaka, Yasuhisa Yamamura, and Kazuya Saito,
Cooperativity between water and lipids in lamellar to inverted-hexagonal phase transition,
Journal of the Physical Society of Japan 83, 044801 (2014).

概要: 脂質膜の水和状態と相転移挙動(ラメラ相ー逆ヘキサゴナル相)の関係をX線散乱とTHz分光により調べた.脂質分子の頭部構造の違いによる親水性の相違が相転移挙動と強く相関することを示した. 【菱田真史(立案と実施,原稿執筆)、山村泰久(実験結果の解釈についての議論に参加)、齋藤一弥(結果の解釈および論文の構成)】

Masahiro Kazama, *Wataru Kurebayashi, Takahiro Tsuchida, Yuta Minoshima, Mikio Hasegawa, Koji Kimura, and Hiroya Nakao,
Enhancement of noise correlation for noise-induced synchronization of limit-cycle oscillators by threshold filtering,
NOLTA, IEICE 5, 157-171 (2014).

概要: 環境揺らぎを用いた非線形振動子の共通ノイズ同期現象において、同期の度合いを向上させるためのノイズのフィルタリング手法を提案し、ノイズのタイプによっては実際に同期度が向上することを数値シミュレーションにより示した。