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A02公募班(2016-2017)

論文等 | 原著論文

2017

Yosuke Takasu, Yoshiaki Fukushima, Yusuke Nakamura, and Yoshiro Takahashi,
Magnetoassociation of a Feshbach molecule and spin-orbit interaction between the ground and electronically,
Physical Review A 96, 023602 (2017).

概要: 冷却イッテルビウム原子を用いて、1S0と3P2状態にある2原子からフェシュバッハ分子を外部磁場総員により断熱的に生成した。さらに、スピン軌道相互作用を導入した。 【Editors's choice に選定】

Yumino Hayase, Takahiro Sakaue and Hiizu Nakanishi,
Compressive response and helix formation of a semiflexible polymer confined in a nanochannel,
Physical Review E 95, 052502/1-6 (2017).

概要: 持続長よりずっと狭い管内に拘束された半屈曲鎖の圧縮特性と段階的構造転移を数値シミュレーションにより研究した。非圧縮状況下では、鎖は大局的には軸方向を向いた無秩序形態をとるが、軸方向への圧縮により、らせん状の秩序構造への構造転移が誘起される。圧縮の進展によりらせん構造は不安定化され、二重鎖(double-fold)の無秩序形態への転移が起きるが、さらなる圧縮による二重鎖螺旋への転移が起きる。理論的な考察から、らせん構造への転移は、deflectionセグメントの座屈転移であることを議論した。 【早瀬友美乃(数値シミュレーション、議論)、中西秀(理論解析、議論)】

*Takuya Saito and Takahiro Sakaue,
Complementary mode analyses between sub-and superdiffusion,
Physical Review E 95, 042143 (2017).

概要: 自然界に見られる遅い拡散過程(sub-diffusion)の中には、冪的に分布した緩和時間をもつモードの重ねあわせとして記述されるものがたくさんある。本論文では、同様な視点から速い拡散(super-diffusion)の記述を試み、速い拡散を記述するモードの構造特性を、遅い拡散の場合と対比させながら議論した。

*Takahiro Sakaue, Jean-Charles Walter, Enrico Carlon and Carlo Vanderzande,
Non-Markovian dynamics of reaction coordinate in polymer folding,
Soft Matter 13, 3174-3181 (2017).

概要: 生体高分子の折り畳み過程の粗視化記述として、反応座標を用いた記述がある。本論文では、鎖内で相補的ペアと結合し二重鎖を形成する"zipping polymer"を例に挙げ、反応座標が示す異常拡散ダイナミクスを高分子鎖の粘弾性特性から解析的に計算し、反応座標記述における記憶効果の重要性を示した。

*Kazuya Saito, Takaaki Ikeda, Yasuhisa Yamamura, Hideki Saitoh, Mafumi Hishida, Yutaro Kobayashi, Takeshi Fujita, and Junji Ichikawa,
Cell-quintupling: Structural phase transition in a molecular crystal, bis(trans-4-butylcyclohexyl)methanol,
The Journal of Chemical Physics 146, 074503 (2017).

概要: ガラス転移のモデル物質の探索の過程で合成した有機化合物BBCHMの結晶が低温で,単位胞の5倍化を伴う構造相転移を起こすことを見出した.赤外吸収スペクトル,構造解析,熱容量カロリメトリーにより構造科学的特徴を明らかにするとともに,構造相転移の一般論の文脈で本物質における単位胞の5倍化の意味を議論した. 【齋藤一弥(全体統括と論文の執筆),山村泰久(赤外スペクトルと熱容量カロリメトリーの実験の中心),菱田真史(議論)】

*Kazuya Saito, Mafumi Hishida, Kent Koike, Shigenori Nagatomo, and Yasuhisa Yamamura,
X-ray study of molecular association in alcohols having bulkysubstituents,
Chemical Physics Letters 673, 74-77 (2017).

概要: 分子液体の局所構造をX線回折により調べた.分子が球形に近いことに着目して粗視化(分子形状因子の平均化)を行う解析法を提案した.2種の大きな置換基を持つアルコールについて解析を行い,最近接分子間距離の温度依存性に顕著な違いを見出した.これは,他の実験から推測されている水素結合による会合状態とよく整合している. 【齋藤一弥(解析,原稿執筆),菱田真史(実験),山村泰久(議論)】

*Takahiro Sakaue, Takuya Saito,
Active diffusion of model chromosomal loci driven by athermal noise,
Soft Matter 13, 81-87 (2017).

概要: 非熱的ノイズにより駆動される高分子鎖の能動拡散運動について、張力伝播を基にした理論を構築した。特に、細胞内での染色体のダイナミクスを念頭に置き、媒質の粘弾性効果や鎖の排除体積効果、トポロジーの効果を取り入れたスケーリング理論を展開した。 【Soft Matter emerging investigators 2017への招待論文】

2016

*Takahiro Sakaue,
Dynamics of polymer translocation: a short review with an introduction of weakly-driven regime,
Polymers 8, 424:1-12 (2016).

概要: 高分子鎖の細孔通過現象の動力学について、最近の理論的研究の進展をレビューした。従来、駆動力の有無により状況を二分して考察されることが常であったが、駆動力が有る場合には、力の強さに応じて線形応答理論が適用可能な弱駆動領域と、非線形・非平衡性が顕著となる強駆動領域とに分けることにより、統一的な視点が提供出来ることを議論した。【Special Issue "Young Talents in Polymer Science"への招待論文】

Kyohei Shitara and *Takahiro Sakaue,
Shear modulus of structured electro-rheological fluid mixtures,
Physical Review E 93, 052603/1-7 (2016).

概要: 二相に相分離した誘電溶液に電場をかけると、マクスウェル応力による界面の不安定化が起きる。その結果、強電場下では電極間をブリッジするコラム(ストライプ)状のパターンが形成され、せん断変形に対して弾性的な応答を示すようになる。このような状況下でのせん断剛性率を理論的に計算した。また、電場の効果を繰り込んだ「異方的界面張力」を考えることにより、電場印加により形成されるコラムの特徴的サイズに対するスケーリング則を導出した。 【折原 宏( 議論)】

*Takahiro Sakaue, and Chihiro H. Nakajima,
Miscibility Phase Diagram of Ring Polymer Blends: A Topological Effect,
Physical Review E 93, 042502/1-9 (2016).

概要: 環状鎖を含む高分子ブレンドの相分離挙動を記述する平均場理論を構築した。通常の線形鎖-線形鎖ブレンドに比べ、線形鎖-環状鎖では相溶性が大幅に増大すること、逆に環状鎖-環状鎖ブレンドでは相分離の傾向が促進されることを見出し、そのメカニズムをトポロジカルな拘束と関連付けて議論した。興味深い点として、トポロジカルな拘束に由来する長さスケールが相互作用の「遮蔽長」として作用することを見出した。

Ahmed Khorshid, Susan Amin, Zhiyue Zhang, Takahiro Sakaue, *Walter Reisner,
Non-Equilibrium Dynamics of Nanochannel Confined DNA,
Macromolecules 49(5), 1933–1940 (2016).

概要: ナノチャネル中に拘束されたDNA一分子の非平衡ダイナミクスを記述する非線形拡散方程式を導出し、数値解析を行った。外的に操作するビーズにより引き起こされるDNA分子の圧縮過程では、圧縮波の伝搬とそれに伴う濃度プロファイルの動的発展の特徴を捉えることに成功した。また、初期の圧縮状態からの緩和過程について、中間時間域を特徴つけるスケーリング解を得た。どちらの過程においても、実空間実験結果と詳細な比較を行い、半定量的な一致を確認した。

*Kazuya Saito, Yasuhisa Yamamura, Yohei Miwa, and Shoichi Kutsumizu,
A structural model of the chiral Im3m cubic phase,
Physical Chemistry Chemical Physics 18, 3280-3284 (2016).

概要: 立方対称の多連結超構造の一種でサーモトロピック液晶に特異的な“Im3m"相が,キラルで無い分子がつくるキラルな凝集構造であることが報告された.これまでの知見と整合しつつ,ランダムな欠陥の配置を必要としない構造モデルを提案した. 【山村泰久(論文の構成)、齋藤一弥(研究立案・実施および論文執筆)】

Mafumi Hishida, Ryuta Yanagisawa, Hatsuho Usuda, Yasuhisa Yamamura, and *Kazuya Saito,
Communication: Rigidification of a lipid bilayer by an incorporated n-alkane,
Journal of Chemical Physics 144, 041103 (2016).

概要: DPPC二重膜中にテトラデカンを添加すると,液晶相からゲル相への相転移に伴い,ゲル相の硬化によりベシクルが壊れることを報告した.ベシクルの形態観察によりベシクルのサイズ分布を求め,その解析からゲル相の弾性率を求め,硬化を確認した.見出した効果は,二重膜中分子として一般的なコレステロールとは正反対であり,二重膜物性への影響が分子構造に強く依存することを指摘した. 【菱田真史(研究の立案と実施、原稿の執筆)、山村泰久(結果の解釈)、齋藤一弥(結果の解釈および論文の構成)】