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A03-001今井グループ

論文等 | 原著論文

2017

Shoko Uemoto, Taro Toyota, Luca Chiari, Tomonori Nomoto, *Masanori Fujinami,,
Assemblies of molecular aggregates in the blebbing motion of an oil droplet on an aqueous solution containing surfactant,
Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects 529, 373-379 (2017).

概要: カチオン界面活性剤を含む水溶液の水面に,高級脂肪酸を溶解した炭化水素の油滴が加えられると,油滴は伸縮した後にブレッブ運動という複雑な変形をみせることが住野らにより報告されている。本研究では,表面張力の経時変化を準弾性レーザー散乱法で計測するのみならず,この油滴内部での流れや分子凝集体形成の過程をトレーサー粒子や蛍光分子を用いて追跡し,油滴の縁での分子凝集過程のみならず,油滴内部の変化もブレッブ運動に連動していることを見出した。

Atsuji Kodama, Yuka Sakuma, *Masayuki Imai, Toshihiro Kawakatsu, Nicolas Puff, and Miglena I. Angelova,
Migration of Phospholipid Vesicles Can Be Selectively Driven by Concentration Gradients of Metal Chloride Solutions,
Langmuir 33, 10698-10706 (2017).

概要: ベシクルに様々な金属イオンをインジェクションした時に観察される diffusiophoresis 現象を定量的に測定し、理論と比較することにより、ベシクル系での diffusiophoresis を検証した。 【佐久間由香:実験の計画と議論】

Naoko Ueno, Taisuke Banno, Arisa Asami, Yuki Kazayama, Yuya Morimoto, Toshihisa Osaki, Shoji Takeuchi, Hiroyuki Kitahata, *Taro Toyota,
Self-propelled motion of monodisperse underwater oil droplets formed by a microfluidic device,
Langmuir 33, 5393-5397 (2017).

概要: 界面活性剤水溶液中を駆動する油滴について,粒径を均一にして作製するマイクロ流体デバイスを開発した。これにより,油滴のサイズおよび界面活性剤濃度が駆動する油滴の速さに与える影響を調べ,その依存性が,マランゴニ効果のみならず,自発乳化によってもたらされるエネルギーの寄与にあることを示唆する結果を得た。 【北畑裕之:油滴の駆動機構に関する議論】

Takuro Itoh, *Taro Toyota, Hiroyuki Higuchi, Michio M. Matsushita, Kentaro Suzuki, and *Tadashi Sugawara,
Cycle of charge carrier states with formation and extinction of a floating gate in an ambipolar tetracyanoquaterthienoquinoid-based field-effect transistor,
Chemical Physics Letters 671, 71-77 (2017).

概要: 双極性半導体として機能するTCT4Q(テトラシアノテトラチエノキノイド)からなる有機FETの室温でのIV特性には、印加されたゲート電位をバイアスストレスとして、その閾値電位が速やかにシフトすると言う特徴がある。この挙動は、ゲート電位印可によって生じたキャリアが、結晶内に速やかにトラップされることであると考えられる。キャリアのトラップおよび脱トラップの過程を、種々の温度で詳細に観察したところ、キャリアのトラップ、捕捉キャリアによるフローティングゲートの形成、逆電荷のキャリアの出現、捕捉されたキャリアと逆符号のキャリア間の対消滅という四つのステージを持ったサイクルが繰り返されていることを確認した。 

2016

Taisuke Banno, Arisa Asami, Naoko Ueno, Hiroyuki Kitahata, Yuki Koyano, Kouichi Asakura, *Taro Toyota,
Deformable self-propelled micro-object comprising underwater oil droplets,
Scientific Reports 6, 31292 (2016).

概要: 水中を変形しながら泳ぎ回るアメーバ様の動きをする細胞サイズの人工の油滴を創製しました。顕微鏡画像を用いた運動解析より、この油滴の運動機構は、油滴の後方で形成される強い流れ場と油滴内部の局所的な対流構造によって、速度変化の後に変形が誘起されるという新たな運動機構であることを推定しました。 【北畑裕之(運動の解析)】

2017

*Kentaro Suzuki, and Tadashi Sugawara,
Phototaxis of oil droplets comprising a caged fatty acid tightly linked to internal convection,
ChemPhysChem 17, 2300-2303 (2016).

概要: 紫外線照射による光分解反応によってオレイン酸を生じるケージドオレイン酸からなる粒径100 um程度の油滴に、一定方向から紫外線を照射したところ、油滴が紫外線に向かって自己駆動することを見出した。これは、照射された紫外線が油滴を透過できないため、光分解反応によるオレイン酸の生成が、紫外線照射面のみに限られるので、照射面でのみ表面張力の減少がおこることで、油滴を動かすマランゴニ流が水相に生じているためであると解釈される。さらに、継続して紫外線を照射していると、油滴の駆動速度に非線形な加速が見られることを見出した。これは、十分に化学反応が進行すると油滴内部に対流を生じ、これが油滴表面の界面活性剤濃度勾配を増強し、マランゴニ効果を増大させるためであると理解される。 【今井正幸(流体力学に関する知識提供)、北畑裕之(マランゴニ効果に関する情報提供)、豊田太郎(自己駆動油滴に関する情報提供)】

2016

Takehiro Jimbo, Yuka Sakuma, Naohito Urakami, Primož Ziherl, and *Masayuki Imai,
Role of inverse-Cone-Shape Lipids in Temperature-Controlled Self-Reproduction of Binary Vesicles,
Biophysical Journal 110, 1551-1562 (2016).

概要: 温度変化により球状のベシクルが変形し分裂する過程を繰り返すモデル自己生産ベシクルの過程を3次元解析した。その機構を分子の形状と2分子膜内での分布が連携することにより回帰性のある変形や分裂が観察されることを膜弾性モデルを基に議論した。 【佐久間由香(現象の発見と研究計画の立案)】

Atsuji Kodama, Yuka Sakuma, *Masayuki Imai, Yutaka Oya, Toshihiro Kawakatsu, Nicolas Puff, and Miglena I. Angelova,
Migration of phospholipid vesicles in response to OH- stimuli,
Soft Matter 12, 2877-2886 (2016).

概要: リン脂質ベシクルん水酸化物イオンをインジェクションすると、その濃度勾配の高い方向にベシクルが駆動する現象を見出した。これは、ベシクル表面で水酸化物イオンにより脂質が加水分解され、それによる表面エネルギーの勾配でベシクルの周りに流れができ、ベシクルが動くためであると考えられる。 【佐久間由香(現象の発見と実験計画の立案)】

2015

Kensuke Kurihara, Yusaku Okura, Muneyuki Matsuo, Taro Toyota, Kentaro Suzuki, and *Tadashi Sugawara,
A recursive vesicle-based model protocell with a primitive model cell cycle,
Nature Communications 6, 8352 (2015).

概要: ベシクル内部のDNAを増幅した後、膜分子前駆体を添加すると速やかにベシクル自己生産が起こり、自己増殖するベシクル型人工細胞が、当研究室より報告されている。しかし、分裂したベシクルにはDNAの原料であるdNTPが枯渇しており、そのままでは再度DNAを増幅することは出来ない。本研究では、二種のリン脂質(双性イオン型とアニオン型)からなるベシクル膜の電荷に注目し、その比率が娘ベシクルとは逆のベシクルにdNTPを充填し、コンベイヤベシクルとした。分散媒が酸性になると、コンベイヤベシクルは娘ベシクルと接着・融合し、dNTPを娘ベシクルに充填するため、繰り返し自己増殖が可能となった。さらに、この繰り返し自己増殖するベシクル型人工細胞には、原始的細胞周期(分裂相、摂取相、複製相、成熟相)が存在することを見出した。 【菅原正(実験総括と論文執筆)、豊田太郎(機構の議論)、今井正幸(膜ダイナミクスの議論)】

Naohito Urakami, Akio Takai, Masayuki Imai and Takashi Yamamoto,
Molecular dynamics simulation for shape change of water-in-oil droplets,
Molecular Simulation 41, 986-992 (2015).

概要: 高分子を膜(マイクロエマルション)の中に閉じ込めることによるマイクロエマルションの形態転移の実験結果を分子シミュレーションで再現した。

Keita Ikari, Yuka Sakuma, Takehiro Jimbo, Atsuji Kodama, *Masayuki Imai, Pierre-Alain Monnard, and Steen Rasmussen,
Dynamics of fatty acid vesicles in response to pH stimuli,
Soft Matter 11, 6327-6334 (2015).

概要: 脂肪酸ベシクルにNaOHをインジェクションすると脂肪酸の可溶化がおこり、ベシクルの変形、孔形成、および膜融合が誘起されることを実験的に示し、膜弾性理論からその振る舞いを定量化した。 【佐久間由香(実験の立案と解析)】

*Yoshiyuki Kageyama, Tomonori Ikegami, Natsuko Hiramatsu, *Sadamu Takeda, and Tadashi Sugawara,
Structure and growth behavior of centimeter-sized helical oleate assemblies formed with assistance of medium-length carboxylic acids,
Soft Matter 11, 3550-3558 (2015).

概要: オレイン酸はpH = 8付近で螺旋状構造体を形成するが、その鎖長は100 µm程度である。今回、螺旋構造体を形成する際に、N-ドカノイル-L-アラニン、あるいはノナン酸、オクタン酸のナトリウム塩を少量添加しておくと、1 cmを超える螺旋構造体が形成されることが見出された。これらの塩は、界面活性剤として水溶液に溶解しているオレイン酸を螺旋末端部に連結している凝集体に運搬するため伸長が続くことがわかった。 【菅原正(超分子化学)】

Masahiro Mizuno, Taro Toyota, Miki Konishi, Yoshiyuki Kageyama, *Masumi Yamada, and Minoru Seki,
Formation of monodisperse hierarchical lipid particles utilizing microfluidic droplets in a non-equilibrium state,
Langmuir 31, 2334-2341 (2015).

概要: リン脂質ジャイアントベシクルの作製過程で分散媒を酢酸エチルから水に交換すると、リン脂質の集合状態が異なるコア―シェル型の微粒子が生成することがわかった。この交換過程をマイクロ流体デバイスで制御することで、粒径を制御したり、他の水溶性・疎水性分散質を取り込ませたコア―シェル微粒子を作製できることを示した。 【豊田太郎(微粒子の構造と形成過程の解釈)】

*Hiroshi Noguchi, Ai Sakashita and Masayuki Imai,
Shape transformations of toroidal vesicles,
Soft Matter 11, 193-201 (2015).

概要: ドーナッツ型など穴の開いたベシクルの形態について、共焦点顕微鏡と計算機シミュレーションにより、系統的に調べその振る舞いを明らかにした。 【野口博司(主著者)】

2014

Yuka Takeuchi, Yoko Sugawara, Tadashi Sugawara, and *Masakazu Iwasaka,
Magnetic rotation of monosodium urate and urinary tract stones for clinical treatment applications,
Magnetics, IEEE Transactions on 50, 6101204 (2014).

概要: 体内での尿酸ナトリウムやシュウ酸カルシウムの結晶化は、通風や尿路結石などの原因であり、その対応が求められている。そこで本研究では、水中に分散させたこれら塩の結晶に対する磁場応答性を確認した。顕微鏡観察により、尿酸ナトリウム結晶は磁場に平行に配向くし、シュウ酸カルシウム結晶は磁場に垂直に配向することを確認した。さらに、尿酸ナトリウム結晶を水中に分散させた分散液の散乱スペクトルを確認したところ、磁場による結晶回転を散乱強度の変化として確認することができ、さらに配向は磁場のON/OFF、印加方向などで制御できる。このような方法は、体内にできたこの種の結晶の配向を制御することに使えるのではないか。 【菅原正(結晶構造)】

Yuri Mizukawa, Kentaro Suzuki, Shigefumi Yamamura, Yoko Sugawara, Tadashi Sugawara, and *Masakazu Iwasaka,
Magnetic manipulation of nucleic acid base microcrystals for DNA sensing,
Magnetics, IEEE Transactions on 50, 5001904 (2014).

概要: 核酸塩基のマイクロ結晶が、水中で示す磁場配向性を利用した新しいDNA認識法に関する研究を行った。再結晶により得られたグアニンのマイクロ結晶は、その反磁性磁化率異方性により、結晶の長軸を磁場に垂直にするような磁場配向を起こすのに必要な磁場の大きさは、一般的な永久磁石レベルの数百mTで、十分なことがわかった。この結晶表面にDNAを吸着させ、DNAが吸着しなかった場合との磁場配向性の程度を、配向角の大小で比較した。その結果、DNAを吸着させることにより、磁場配向性が弱まる傾向が認められた。 【菅原正(結晶構造)】

Ai Sakashita, Masayuki Imai, and *Hiroshi Noguchi,
Morphological variation of a lipid vesicle confined in a spherical vesicle,
Physical Review E 89, 040701/1-4 (2014).

概要: ベシクル内に閉じ込められたベシクルの拘束の強さを変化させた時の変形の振る舞いを共焦点顕微鏡と計算機シミュレーションで系統的に追跡したもの。 【野口博司(主著者)】

*Tomoyuki Mochida, Yusuke Funasako, Kousuke Takazawa, Masashi Takahashi, Michio M. Matsushita, and Tadashi Sugawara,
Chemical control of the monovalent-divalent electron-transfer phase transition in biferrocenium-TCNQ salts,
Chemical Communications 50, 5473-5475 (2014).

概要: ドナー分子 としてフェロセンの誘導体(1',1'''-ジネオペンチルビフェロセン)、アクセプター分子としてTCNQの誘導体(F1TCNQ)を混合して結晶化すると、成分比1:3のイオン性分子結晶を形成する。その電荷状態は室温付近ではD+A3型の一価であるが、120 K付近で一次相転移を示し、D2+A32−型の二価へと変化した。同塩結晶中に母体であるTCNQ(F1TCNQよりアクセプター性が低い)をドープしたところ、その添加濃度に応じて転移温度が低温にシフトした。一方、F1TCNQよりアクセプター性の高いF2TCNQをドープした場合には、高温へとシフトした。どちらの場合も、転移温度の周辺挙動はブロードニングする。これは、ドーピングにより本結晶中に存在する3分子のアクセプターの構成比率に揺らぎが生じたためと考えられる。さらに、ドナー分子のネオペンチル基を、嵩高さが小さいイソブチル基に置換した分子を用いて、F1TCNQとの1:3イオン性分子結晶を作製すると、その一価から二価への転移温度は高温へとシフトした。これは、置換基の化学圧力によるアニオン-カチオン間の距離の圧縮が、マーデルングエネルギーを減少させたことによると見られる。 【菅原正(物性考察)】

*Katsuto Takakura, Takahiko Yamamoto, Kensuke Kurihara, Taro Toytota, Kiyoshi Ohnuma, and *Tadashi Sugawara,
Spontaneous Transformation from Micelles to Vesicles Associated with Sequential Conversionsof Comprising Amphiphiles within Assemblies,
Chemical Communications 50, 2190-2192 (2014).

概要: 親水部と疎水部がイミン結合でつながれた一本鎖型両親媒性分子N1と、親水部に直結されたベンズアルデヒド部位を有する一本鎖型両親媒性分子N2とからなる複合ミセル内部で、N1の加水分解により生じたアルキルアニリンが、N2と脱水縮合することで二本鎖型両親媒性分子Vを生じる。このアニリン交換によって、分子集合体の形態が、ミセルからベシクルへと自発的に変化した。 【菅原正(研究総括)、豊田太郎(顕微鏡および粒度分布計測)】

2013

*Yuka Sakuma, Takashi Taniguchi, Toshihiro Kawakatsu, and Masayuki Imai,
Tubular membrane formation of binary giant unilamellar vesicles composed of cylinder and inverse-cone-shaped lipids,
Biophysical Journal 105, 2074-2081 (2013).

概要: 生体膜は、その機能を効率よく発現するために特徴的な形状を有している。例えば、膜面上で生命維持に必要な物質を合成しているミトコンドリアという細胞小器官は、合成効率をあげるために膜内部に多数のチューブ状構造を形成し、膜面積を大きくしている。我々は今回、逆コーン形とシリンダー形の二種類の脂質から成る二成分ベシクルに温度変化を与えることにより、この特徴的なチューブ構造を再現することに成功した。また、チューブ構造は温度サイクルにより何度でも形成・消滅を繰り返す。このチューブ構造は、i) 温度上昇に伴う膜面積増大によるベシクル内圧の低下が膜内部への陥没を誘起する ii) 膜の陥没により膜内部の負圧が解消され、リピドソーティング(内外の膜における脂質の非対称分布)を伴いながらチューブ構造が形成される という二段階の過程によるものと考え、膜のエネルギーバランスの観点から理論的考察を行なった。

*Yoshiyuki Kageyama, Naruho Tanigake, Yuta Kurokome, Sachiko Iwaki, *Sadamu Takeda, Kentaro Suzuki, and *Tadashi Sugawara,
Macroscopic motion of supramolecular assemblies actuated by photoisomerization of azobenzene derivatives,
Chemical Communications 49, 9386-9388 (2013).

概要: アゾベンゼン部位を有する脂肪酸化合物を混入させた螺旋状オレイン酸自己集合体に紫外線照射すると、螺旋のまき直しダイナミクスが誘発された。アゾベンゼン部位が光照射によりシス-トランス転移することで、その排除体積が変化することと関連づけられる。 【菅原正(オレイン酸螺旋構造体およびその内部での分子挙動に関する考察)】(背表紙に選ばれた。)

*Masakazu Iwasaka, Yuito Miyashita, Yuri Mizukawa, Kentaro Suzuki, Taro Toyota, and Tadashi Sugawara,
Biaxial Alignment Control of Guanine Crystals by Diamagnetic Orientation,
Applied Physics Express 6, 037002/1-4 (2013).

概要: 水中に分散した金魚由来のグアニン単結晶において、ガラス容器底面に沈殿した結晶に対し、ガラス面に平行に400 mTの静磁場(平行磁場)を印加すると、結晶の長軸方向が磁場に平行になるように配向した。一方で、ガラス面に垂直方向に磁場(垂直磁場)を印加すると、結晶はその単軸方向が磁場に平行になるように配向した。さらに両方向から磁場を印加すると、平行磁場に長軸が平行に揃う配向が速やかに起こった。 【菅原正(グアニン結晶中での分子配向についての解釈)】