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A03-003木村グループ

論文等 | 原著論文

2016

Yuta Tamura and *Yasuyuki Kimura,
Two-dimensional assemblies of nematic colloids in homeotropic cells and their response to electric fields,
Soft Matter 12, 6817-6826 (2016).

概要: 液体のように位置の秩序はないが、方向の秩序を持つ異方性液体であるネマチック液晶(液晶ディスプレイに利用されている)中にミクロンサイズの粒子を分散させると異方的な相互作用が働く。本研究で用いた粒子間には、電気双極子間の相互作用と同じ形の相互作用が働いている。この異方的相互作用を利用すれば、異方的かつエネルギー的に安定なさまざまな構造体の作成が可能である。本研究は、光ピンセットで粒子を操作して、球状粒子系では、従来報告例のないさまざまな構造体の作成を行った。例えば、リング(多角形)、アルキメデスタイリングされた2次元格子、穴あき正方格子、カゴメ格子などの作成に成功した。また、電場により液晶の配向制御可能なことを利用して、作成された構造体を等方的に収縮させることにも成功した。その結果、最大5Vで20%(1次元的な長さで)の構造体の収縮を実現した。

Irwin Zaid and *Daisuke Mizuno,
Analytical Limit Distributions from Random Power-Law Interactions,
Physical Review Letters 117, 030602 (2016).

概要: 自然界は重力、静電気力、流体力学場、等々のべき的に減衰する相互作用で満ち溢れている。個々の相互作用を単純に数学的に足し合わせたときの統計分布は、個々の相互作用の分散が有限である時にはガウス分布に、分布の裾野がべき的に広がり発散する場合にはレビ分布と呼ばれる安定分布に収束することが期待される(中心極限定理)。しかしながら、3次元空間中にべき的な相互作用を引き起こす揺らぎの源が乱雑に分散している場合、レビとガウスの中間の多様な統計分布が観測される。我々は、この新しい物理的極限分布の特性関数(分布関数のフーリエ変換)の解析的な表現を見出した。

Yuta Tamura and *Yasuyuki Kimura,
Fabrication of ring assemblies of nematic colloids and their electric response,
Applied Physics Letters 108, 011903 (2016).

概要: ネマチック液晶中に分散したミクロンサイズのコロイド粒子は液晶の配向欠陥となり、液晶の弾性エネルギーを増大させる。このため、複数のコロイド粒子間には弾性ひずみに起因した長距離かつ異方的な相互作用が働く。本研究では、セル表面および粒子表面での液晶配向が垂直な状況を用意し、粒子に点欠陥が付随するダイポール型粒子-欠陥対を用いて、光ピンセットによる粒子操作により新しい構造体の作成を行った。ダイポール型粒子を反平行に配列させることで任意の長さの鎖状構造を作成した。この鎖状構造をもとに4,6,8,10角形の環状構造を作成した。さらに、環状多角形の1次元列、および8角形からなる2次元格子(4-8-8アルキメデスタイル)構造を作成した。これらは特定の方向における粒子間の斥力を反映して、非最密な構造体が準安定に形成される点で興味深い。また、作成した構造体が、10V程度の電場下で1次元サイズが20%収縮することを見出した。

2015

Shogo Okubo, Shuhei Shibata, Yuriko Sasa Kawamura, Masatoshi Ichikawa and *Yasuyuki Kimura,
Dynamic clustering of driven colloidal particles on a circular path,
Physical Review E 92, 032303 (2015).

概要: 円環上をその接線方向に一定の駆動力を受けて運動するコロイド粒子系は、流体力学相互作用によりさまざまな非自明な集団運動を示す。本研究ではことに、粒子サイズが集団運動に及ぼす影響を特定の条件下で調べた。同一粒子径粒子の系では、クラスターの生成消滅を繰り返す運動と特定のサイズのクラスターを形成する2つの場合があることがわかった。また、異粒子径粒子(サイズ比が大きい場合)の系では、粒子の配列により決定論的に最終のクラスターが決まり、動的な変化を示さないことがわかった。粒子サイズ比を変えることで静的・動的クラスター形成の転移が起こることを数値シミュレーションおよび実験により明らかにした。 【市川正敏(シミュレーションに関する議論)】

2014

Kentaro Takahashi and Yasuyuki Kimura,
Dynamics of colloidal particles in electrohydrodynamic convection of nematic liquid crystal,
Physical Review E 90, 012502/1-5 (2014).

概要: ネマチック液晶の電気対流中でのミクロンサイズのコロイド粒子のダイナミクスを調べた。電気対流の閾値以上ではまず、液晶場に垂直に対流ロールが発生するが、粒子は1つのロールにトラップされて、対流により回転する様子が観察された。その際、角速度は電圧の増大に伴って単調に増大した。より高い電圧の下ではロール軸が時間的に揺らぎ、粒子はしばしば隣のロールに飛び移る様子が観察された。ロール軸に垂直方向の粒子の運動は長時間では拡散的となり、その実効的な拡散定数は分子拡散の場合の10^3–10^4倍となった。観察された粒子の運動を対流中での粒子輸送の簡単な確率的モデルによる結果を比較した。 実験で観測された拡散定数の増大をロール中の回転速度、ロール幅、隣接ロールへの遷移確率により定量的に説明することに成功した。 【長屋智之(液晶電気対流の情報提供)】

Sayuri Tanaka, Yuma Oki, and Yasuyuki Kimura*,
Melting process of a single finite-sized two-dimensional colloidal crystal,
Physical Review E 89, 052305/1-9 (2014).

概要: 有限サイズの2次元コロイド結晶の融解過程をビデオマイクロスコピーにより調べた。局所的な面積密度φとヘキサチック秩序ψ6を各ボロノイセルに対して求めた。結晶(クラスター)の中心からの距離の関数としてφと|ψ6|を求め、その時間変化を調べた。その結果、φはクラスター中ではほぼ一定の値を示し、その値が時間とともに単調に減少することがわかった。一方、|ψ6(r)|は初期過程では|ψ6| = 1の核が存在するが、その後、rの単調減少関数となることがわかった。さらに、ソフトコア粒子を用いた有限サイズ結晶の融解過程をブラウンダイナミクスシミュレーションを用いて調べ、融解過程における有限サイズ効果を確かめた。また、得られた結果は定性的に実験とよい一致をみた。 【市川正敏(シリカ粒子の熱泳動効果についての実験的な協力)】

David A. Head, Emi Ikebe, Akiko Nakamasu, Peijuan Zhang, Lara Gay Villaruz, Suguru Kinoshita, Shoji Ando, and *Daisuke Mizuno,
High-frequency affine mechanics and nonaffine relaxation in a model cytoskeleton,
Physical Review E 89, 042711/1-5 (2014).

概要: 真核生物の細胞内部には細胞骨格と呼ばれる繊維状のタンパク質重合体(アクチン、微小管、中間径フィラメント)からなるネットワークが張り巡らされている。この細胞骨格は、外部環境から加えられた力、あるいは内部で自発的に生じた力を受け止めて、さらには別の場所(例えば細胞膜上の力学受容体)に伝播させることで、細胞や器官の様々な振る舞いに影響を与える。細胞内部における力学刺激と、それに対する生理的応答は共にミクロなスケールで進行するために、そのメカニズムを理解するにはまず微視的な応力の存在下における細胞骨格の微視的な力学応答を調べる必要がある。 そこで本研究では、中間径フィラメントであるビメンチンゲルの内部に分散させた直径2ミクロンのコロイド粒子を光トラップし、微視的な空間スケールの力の単極子を生成させた。そこから数ミクロン離れた場所に存在するコロイド粒子の熱揺らぎを観測することで(マイクロレオロジー)、周辺のビメンチンゲルの力学特性を求めた。その結果細胞骨格ゲルの力学応答は加えられた力に依存して大きく変化し(非線形硬化現象)、これによりシステムの対称性が破れて異方的な特性を示すことが分かった。 我々は、得られた実験結果は空間スケールによらない変形(affine変形)を仮定した力学モデルでは全く理解することができないことを示す。構成高分子の持続長が架橋点間距離よりも長い細胞骨格においては、巨視的なスケールの変形と架橋点間距離程度の変形が異なること(非-affine)は、十分にあり得ることである。ミそこでクロな空間スケールにおける非-affineな変形を考慮することで、実験結果(非線形かつ異方的な力学応答)を説明する理論モデルを提示する。

2013

Kuniyoshi Izaki and *Yasuyuki Kimura,
Hydrodynamic effects in the measurement of interparticle forces in nematic colloids,
Physical Review E 88, 54501 (2013).

概要: ネマチックコロイド間の粒子間力を測定する従来の方法を改善した新たな測定法の提案を行った。従来、粒子間力の測定にはさまざまな方法が利用されてきたが、それぞれの方法で得られる結果の定量的な比較は行われてこなかった。ことに、代表的測定法である「free release」法では、粒子間の流体力学的相互作用がその結果に大きく影響する。本研究では、流体力学的相互作用を考慮した改良された粒子間力測定法を提案し、4つの異なる方法で測定された粒子間力-粒子間距離曲線が定量的に一致することを見出した。

*Yasutaka Iwashita and Yasuyuki Kimura,
Stable cluster phase of Janus particles in two dimensions,
Soft Matter 9, 10694-10698 (2013).

概要: 引力的な半球を有するヤヌスコロイド粒子は2次元で他のヤヌス粒子と最大3つのボンドを作成することが可能である。本研究では実験とシミュレーションにより、粒子間引力に依存した安定なクラスター形成に関して調べた。引力が弱い場合には小さなミセル状のクラスターが形成され、引力が強い場合にはその会合体が1次元鎖を形成した。このような階層的なクラスター形成は短距離引力の場合に、低価数粒子の集団的な挙動において重要な役割を果たす。

*David A. Head and Daisuke Mizuno,
Local mechanical response in semiflexible polymer networks subjected to an axisymmetric prestress,
Physical Review E 88, 022717/1-10 (2013).

概要: 軸対称な応力印加下における細胞骨格ネットワークの力学応答に関する解析的および数値的な計算を提示する。得られた結果(ネットワークゲルの非線形かつ異方的な力学応答)は、個々の細胞骨格繊維の非線形性に由来する。