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A03公募班(2014-2015)

論文等 | 原著論文

2016

Ayane Sonoda, Chika Okimura, and *Yoshiaki Iwadate,
Shape and area of keratocytes are related to the distribution and magnitude of their traction forces,
Cell Structure and Function 41(1), 33-43 (2016).

概要: 魚の表皮細胞ケラトサイトはおうぎ型の“かたち”を維持しながらアメーバ運動する。細胞の牽引力がどのようにこの“かたち”を形成しているのか明らかになっていない。ケラトサイトはスタウロスポリン(プロテインキナーゼの1種)で処理すると断片化する。断片化したケラトサイトも元のケラトサイトと同様の“かたち”を維持しながらアメーバ運動する。さまざまな大きさの細胞断片を作成し、牽引力や、牽引力発揮に関わる細胞内タンパク質の分布や牽引力を測定したところ、タンパク質の分布、牽引力出力箇所の分布はサイズによらず等しく、タンパク量と牽引力の大きさは細胞サイズ(面積)に比例することが分かった。

Chika Okimura, Kazuki Ueda, Yuichi Sakumura, *Yoshiaki Iwadate,
Fast-crawling cell types migrate to avoid the direction of periodic substratum stretching,
Cell Adhesion & Migration 10, 331-341 (2016).

概要: 細胞と細胞が接着している基層との力学的な相互作用を調べるために、最も有用な技術の一つは、弾性基層の繰返し伸展です。この刺激に応答して、細胞性粘菌細胞は伸展と垂直な方向に運動します。(1)これが粘菌に特有な現象なのか?、また(2)どのようなメカニズムで伸展と垂直に運動するのか?は不明のままです。(1)(2)の疑問を解決するため、本研究では、好中球様に分化した HL-60 細胞に繰返し伸展刺激を加えました。すると HL-60 細胞も細胞性粘菌同様、伸展と垂直な方向に運動することが分かりました。また、両細胞の軌跡の詳細な分析から、伸展に垂直な方向への方向転換の高い確率がそのような方向性のある移動の主な原因であることが明らかになりました。 HL-60 細胞は細胞性粘菌でみられる方向性のある運動は、彼らは行きたくない方向性を回避するために採用された生存戦略であるように思われます。 

Takako Nakata, Chika Okimura, Takafumi Mizuno, and *Yoshiaki Iwadate,
The role of stress fibers in the shape determination mechanism of fish keratocytes,
Biophysical Journal 110, 481-492 (2016).

概要: アメーバ運動する細胞は、その細胞の種類に特徴的な形状を有しています。どのように彼らが特有な形状を決定するかは興味深い問題です。運動中、ほぼ一定の三日月形状を維持し続ける魚類表皮細胞ケラトサイトは、細胞の“かたち”メカニズムを解明するための理想的な材料です。我々は、異なる魚種からケラトサイトを採取し、その形状および関連分子メカニズムを詳細に比較しました。ブラックテトラから採取した丸いケラトサイトは基質に及ぼす牽引力が小さく、シクリッドから採取した横長のケラトサイトは大きな牽引力を発揮しました。細胞先端のアクチンのレトログレードフロー速度勾配はブラックテトラのケラトサイトでは大きくシクリッドでは小さいものでした。シクリッドのケラトサイトのストレスファイバーを人為的に切断すると、切断部でレトログレードフロー速度が上昇し、細胞のかたちもブラックテトラのケラトサイトのように丸くなりました。以上より、ケラトサイトの“かたち”形成において、ストレスファイバーが、アクチン逆流速度を調節することにより、細胞の形状を維持する機構において重要な役割を果たしていることが分かりました。

2015

Hiroki Himeno, Hiroaki Ito, Yuji Higuchi, Tsutomu Hamada, *Naofumi Shimokawa, Masahiro Takagi,
Coupling between pore formation and phase separation in charged lipid membranes,
Physical Review E 92, 62713 (2015).

概要: 荷電脂質を含むベシクルの形状安定性を解析した。膜に形成された相分離により、膜孔が誘起されることが実験的に分った。分子動力学シミュレーションにより、実験結果を再現した。

Naoki Narematsu, Raymond Quek, *Keng‐Hwee Chiam, and *Yoshiaki Iwadate,
Ciliary metachronal wave propagation on the compliant surface of Paramecium cells,
Cytoskeleton 72, 633-646 (2015).

概要: 原生動物における繊毛運動は一定の位相差を隣接する繊毛の間に維持し、繊毛打は波のように伝わります(metachronal 波)。一般に、 metachronal 波は、隣接する繊毛と細胞外液との間に流体力学的結合を必要としていると考えられています。この仮説を検証するために、我々は流体が通過することができないように、マイクロピペットを用いてゾウリムシの細胞を吸引し、細胞の前方と後方領域を流体力学的に分離しました。この状態でも、まだ metachronal 波が伝わりました。これは、流体力学的カップリングに加えて、metachronal 波を伝播させられる他のメカニズムが存在することを示唆しています。我々は、繊毛の基部同士が弾性体で繋がれ流体力学的カップリングがないモデルを作成しシミュレーションを施すとmetachronal 波を伝播することが分かりました。これが現実に起きているのか確かめるために、生きたゾウリムシ細胞を周期的に伸縮させたところ metachronal 波が同調することが分かりました。これは、流体力学的カップリングに加えて、繊毛基部の弾性も metachronal 波の伝播を媒介する重要な役割を果たし得る、ということを示しています。

Wonju Lee, Yoshiaki Kinosita, Youngjin Oh, Nagisa Mikami, Heejin Yang, Makoto Miyata, Takayuki Nishizaka, and *Donghyun Kim,
Three-Dimensional Superlocalization Imaging of Gliding Mycoplasma mobile by Extraordinary Light Transmission through Arrayed Nanoholes,
ACS Nano 9, 10896-10908 (2015).

概要: 光の「異常光学透過(EOT)」という現象を利用した超解像顕微鏡により、滑走運動を行うバクテリアの位置を高精度で測定することに成功した。

Thapakorn Tree-udom, Jiraporn Seemork, Kazuki Shigyou, Tsutomu Hamada, Naunpun Sangphech, Tanapat Palaga, Numpon Insin, Porntip Pan-In, and *Supason Pattanaargson Wanichwecharungruang ,
Shape Effect on Particle-Lipid Bilayer Membrane Association, Cellular Uptake and Cytotoxicity,
ACS Applied Materials & Interfaces 7, 23993–24000 (2015).

概要: 生細胞および人工細胞モデルを用いて、形状の異なるナノ粒子の細胞作用を実験的に明らかにした。膜表面への吸着量は、ロッド>球>プリズムの順で多くなることが分った。膜の曲率弾性エネルギーによりメカニズムを説明した。

Hitomi Nakashima, Chika Okimura, and *Yoshiaki Iwadate,
The molecular dynamics of crawling migration in microtubule-disrupted keratocytes,
Biophysics and Physicobiology 12, 21-29 (2015).

概要: 細胞のアメーバ運動は、複雑な生命現象において重要な役割を果たしています。現在では、一般的に、アメーバ運動に必須の多くのプロセスは微小管という細胞骨格によって制御されていると考えられます。しかし、魚類表皮ケラトサイト細胞では、微小管を含んでいない細胞断片でも、微小管重合の阻害剤であるノコダゾールで処理した細胞でも、未処理の細胞と同じ速度で運動します。本研究では、運動特性だけでなく、それを引き起こす分子機械、すなわち、アクチンフィラメント、ビンキュリンとミオシンIIの分布、および牽引力の分布も、ノコダゾール処理の影響を受けないことを示しました。これらの結果は、微小管は、運動特性の面だけでなく分子メカニズムの面でも、ケラトサイトのアメーバ運動に必要ないことを示唆しています。

*Yutetsu Kuruma and Takuya Ueda,
The PURE system for the cell-free synthesis of membrane proteins,
Nature Protocols 10, 1328-1344 (2015).

概要: 無細胞タンパク質合成系はタンパク質合成のための試験管内ツールである。この無細胞系にリポソームなどの人工的な膜画分を加えることで、複雑な膜タンパク質複合体をも合成することができる。われわれは再構築型の無細胞系PURE systemを用いた膜タンパク質合成法と、その定量法、膜局在効率測定法、膜内配向性評価法、膜内複合体形成評価法についての実験的手順を示した。さらに、一例として、無細胞系で合成したATP合成酵素の活性評価法とその結果についても示した。この方法は、膜タンパク質の迅速な入手と詳細な解析を可能にするものであり、これまでの生きた細胞を用いた実験系による、膜タンパク質精製や再構築化のリスクを克服する利点を持つものである。

*Aya Tanaka, Ryosuke Tanaka, Nahoko Kasai, Shingo Tsukada, Takaharu Okajima, Koji Sumitomo,
Time-lapse imaging of morphological changes in a single neuron during the early stages of apoptosis using scanning ion conductance microscopy,
Journal of Structural Biology 191, 32–38 (2015).

概要: 細胞膜揺らぎの計測が可能なイオンコンダクタンス顕微鏡を用いて神経細胞のタイムラプス形状観察に成功した。

Yuki Koyano, Yoshinaga Natsuhiko, and *Hiroyuki Kitahata,
General criteria for determining rotation or oscillation in a two-dimensional axisymmetric system,
Journal of Chemical Physics 143, 014117/1-6 (2015).

概要: 中心力中や閉じ込められた、二次元軸対称系での自発運動粒子は振動や回転運動を示す。これらの運動は粒子や境界の非対称性を必要とせず自発的に対称性を破ることによって実現する。本論文では、自己駆動粒子の一般的なモデルを提案し、弱非線形解析によって振動運動と回転運動が起きる条件について明らかにした。 【北畑裕之(研究の総括)、義永那津人(理論解析の補助)】

Ryosuke Takahashi, *Takaharu Okajima,
Mapping power-law rheology of living cells using multi-frequency force modulation atomic force microscopy,
Applied Physics Letters 107, 173702 (2015).

概要: 細胞レオロジーの空間構造とそのばらつきを高速に計測可能な多重周波数フォースマッピング法を実現した。

*Tsutomu Hamada, Rie Fujimoto, Shunsuke F. Shimobayashi, Masatoshi Ichikawa, *Masahiro Takagi,
Molecular behavior of DNA in a cell-sized compartment coated by lipids,
Physical Review E 91, 62717 (2015).

概要: 油中水滴の内部に閉じ込めたDNAが、小胞サイズに依存して膜への吸着・脱吸着を変化させることを見出した。また、fold状態のDNA分子が膜面に吸着した後unfold状態に変化する現象を発見し、このunfolding転移の確率もまた小胞サイズに依存した。理論的考察から、空間サイズ依存的なDNA分子ダイナミクスを記述する自由エネルギーを定式化した。 【市川正敏(理論モデル)】

Hiroaki Ito, Navina Kuss, Bastian E. Rapp, Masatoshi Ichikawa, Thomas Gutsmann, Klaus Brandenburg, Johannes M. B. Pöschl, and *Motomu Tanaka,
Quantification of the Influence of Endotoxins on the Mechanics of Adult and Neonatal Red Blood Cells,
Journal of Physical Chemistry B 119, 7837−7845 (2015).

概要: 自作した微小流路を用いて、新生児と成人の赤血球の形状ゆらぎを高分解能で追跡し、振幅の2乗平均から赤血球の曲げ弾性と張力、および細胞骨格との結合の強さ(ずり応力)を定量した。また敗血症のモデルとしてリポ多糖や抗敗血症薬が細胞の力学特性に与える寄与の定量解析にも成功した。

Sunatda Arayachukeat, Jiraporn Seemork, Porntip Pan-In, Kittima Amornwachirabodee, Naunpun Sangphech, Titiporn Sansureerungsikul, Kamonluck Sathornsantikun, Chotima Vilaivan, Kazuki Shigyou, Prompong Pienpinijtham, Tirayut Vilaivan, Tanapat Palaga, Wijit Banlunara, Tsutomu Hamada, and *Supason Pattanaargson Wanichwecharungruang,
Bringing macromolecules into cells and evading endosomes by oxidized carbon nanoparticles,
Nano Letters 15(5), 3370-3376 (2015).

概要: 細胞内に分子を運ぶカーボンナノ粒子を開発した。ベシクル実験により、ナノ粒子が膜透過機能を持つことを明らかにした。新規ドラッグデリバリーシステムへの展開が期待される。

Alexandra S. Burk, Cornelia Monzel, Hiroshi Y. Yoshikawa, Patrick Wuchter, Rainer Saffrich, Volker Eckstein, *Motomu Tanaka and *Anthony D. Ho,
Quantifying Adhesion Mechanisms and Dynamics of Human Hematopoietic Stem and Progenitor Cells.,
Scientific Reports 5, 9370 (2015).

概要: ヒト造血幹細胞をSDF-1αもしくはN-カドヘリンで機能化したヒト骨髄モデルに播種し、その接着強度をピコ秒レーザーパルスで誘起した圧力波で定量計測した。さらに細胞形状の非平衡ゆらぎのパワースペクトルから、骨髄内での幹細胞遊走を支配するケモカインが細胞の変形運動によるエネルギー散逸に与える寄与をはじめて定量した。

Shin Yamaguchi, Kei Saito, Miki Sutoh, Takayuki Nishizaka, Yoko Y Toyoshima, Junichiro Yajima,
Torque generation by axonemal outer-arm dynein,
Biophysical Journal 108, 872-879 (2015).

概要: テトラヒメナの軸糸の外腕ダイニンが微小管との相互作用において回転運動を発生することを、独自の光学顕微鏡により詳細に検証。種による違いとその役割を明らかにした。

PingGen Cai and Takaharu Okajima,
Precision of cell-to-cell variation in power-law rheology characterized by atomic force microscopy,
Japanese Journal of Applied Physics 54, 037001 (2015).

概要: 原子間力顕微鏡による生細胞の貯蔵弾性率の個体差の定量化の精度に関する研究である。

Jun Kurushima, Daisuke Nakane, Takayuki Nishizaka, and *Haruyoshi Tomita,
Bacteriocin protein BacL1 of Enterococcus faecalis targets cell division loci and specifically recognizes L-Ala2-crossbridged peptidoglycan,
Journal of Bacteriology 197, 286-295 (2015).

Mari Takahashi, Priyank Mohan, Akiko Nakade, Koichi Higashimine, Derek Mott, Tsutomu Hamada, Kazuaki Matsumura, Tomohiko Taguchi, and *Shinya Maenosono,
Ag/FeCo/Ag Core/shell/shell Magnetic Nanoparticles with Plasmonic Imaging Capability,
Langmuir 31, 2228–2236 (2015).

概要: 細胞操作に向けた磁性ナノ粒子の開発を行った。ナノ粒子をベシクル膜面に吸着させ、磁場によるベシクル移動現象を観察した。

Shoichi Toyabe and Eiro Muneyuki,
Single molecule thermodynamics of ATP synthesis by F1-ATPase,
New Journal of Physics 17, 015008/1-7 (2015).

概要: FoF1-ATPaseはほとんどすべての細胞に於いてATPを合成する役割を果たす.その中心となるサブ複合体であるF1モーターは可逆的な化学反応とγサブユニットの回転運動の共役をおこなう.本研究では強い合成方向の外部トルクを印可して,平衡から離れた合成反応が行われる状況でも,モーター内での散逸が非常に低いことを示した. 【沙川 貴大、佐野雅己、佐々真一、佐野研川口、宗行研上野(議論)】

2014

Hideaki Matsubayashi, Yutetsu Kuruma, and Takuya Ueda,
Cell-Free Synthesis of SecYEG Translocon as the Fundamental Protein Transport Machinery,
Origins of Life and Evolution of Biospheres 44, 331-334 (2014).

概要: 細胞膜は単に細胞質の入れ物という役割の他に、細胞の生命維持に欠かせない多くの生化学的な機能をもっている。そのような細胞膜機能のほとんどは膜タンパク質がになっており、またそれらは膜挿入マシナリーであるSecYEGトランスロコンを介して脂質二重膜に埋め込まれる。我々は、このSecYEGを試験管内で人工的に合成することで、細胞膜の機能化のプロセスについて考察した。

Nataliya Frenkel, Ali Makky, Ikhwan Resmala Sudji, *Michael Wink, and *Motomu Tanaka,
Mechanistic Investigation of Interactions between Steroidal Saponin Digitonin and Cell Membrane Models,
The Journal of Physical Chemistry B 118, 14632−14639 (2014).

概要: サポニンの一種であるジギトニンは疎水性のステロイド構造と親水基を持つ両親媒性分子であり、コレステロールに結合し細胞を溶解する働きをもつ。このような溶解活性は早くから知られていたものの、ジギトニンと細胞膜との相互作用は不明であった。本論文では細胞膜モデルを用いてこの相互作用を定量評価し、その結果ジギトニン分子が膜中のコレステロールに特異的に結合することでコレステロールが膜中から除かれ、膜面でジギトニン‐コレステロール複合体を形成されることを示した。ジギトニンによる質量密度と膜弾性率の変化を、散逸モニタリング水晶振動子マイクロバランス(QCM-D)によって測定し、さらにX線反射率測定(XRR)と二面偏波式干渉計(DPI)の同時測定によってコレステロール‐ジギトニンの水和レベルを取得した。示差走査熱測定(DSC)による解析からも、膜中からのコレステロールの除去を示す結果が得られた。

Harden Rieger, Hiroshi Y. Yoshikawa, Katharina Quadt, Morten A. Nielsen, Cecilia P. Sanchez, Ali Salanti, *Motomu Tanaka and Michael Lanzer,
Cytoadhesion of Plasmodium falciparum–infected erythrocytes to chondroitin-4-sulfate is cooperative and shear enhanced,
Blood 125, 383-391 (2014).

概要: 妊娠中の母体のマラリア寄生虫Plasmodium falciparumへの感染は、胎盤の絨毛間空の寄生赤血球の宿主細胞接着からはじまり、母子両方に深刻な合併症をもたらす。宿主細胞接着は胎盤の多糖タンパク中に存在するCSA(コンドロイチン硫酸A)と接着因子であるアドヘシンVAR2CSAの選択的相互作用によって生じる。しかし一方で、微小血管中に存在するCSAには、VAR2CSAを介した選択的相互作用による赤血球の接着を生じない。このような胎盤での特異的な結合趨性を明らかにするために、CSAを含む人工モデル膜系を用い、CSAの平均分子間距離による細胞接着能の差異について検証した。その結果、宿主細胞接着はCSA距離に強く依存していることが分かり、流体力学的条件によらず9+/-1 nmにおいて最大半量を示した。さらにCSAへの結合は協同的かつ流体のずり応力に誘起されることが分かった。これらの結果は、CSAの表面密度とVAR2CSAのアロステリックな効果が、宿主細胞接着においてCSA環境の区別に寄与していることを示唆している。

Hiroshi Ueno, Yoshihiro Minagawa, Mayu Hara, Suhaila Rahman, Ichiro Yamato, Eiro Muneyuki, Hiroyuki Noji, Takeshi Murata, *Ryota Iino,
Torque Generation of Enterococcus hirae V-ATPase,
The Journal of Biology Chemistry 289, 31212-31223 (2014).

概要: FoF1-ATP合成酵素と類似した機能を持つVoV1-ATPaseについて大腸菌での発現系を構築して一分子回転観察を行い,V1-ATPaseの回転と比較した.その結果,V1-ATPaseの回転に完結的に見られた不安定な回転はVoV1-ATPaseにおいては見られず,Vo部分の存在が構造全体を安定化していることが示唆された.このVoV1-ATPaseはナトリウムイオンを輸送するものであることから,イオン輸送と回転の共役についての研究の発展が見込まれる. 【宗行英朗(実験の支援と論文のチェック)】

Hiroki Himeno, Naofumi Shimokawa, Shigeyuki Komura, David Andelman, *Tsutomu Hamada, Masahiro Takagi,
Charge-induced phase separation in lipid membranes,
Soft Matter 10, 7959-7967 (2014).

概要: 荷電脂質を含むベシクルの相分離挙動を解析した。飽和系の荷電脂質は相分離を誘起するのに対し、不飽和系の荷電脂質は相分離を抑制することを発見した。すなわち、脂質分子の親水基荷電と疎水基脂肪酸の組み合わせが、膜の相挙動に重要であることを明らかにした。 【好村滋行(理論モデル)】

Yasuaki Komuro, Suyong Re, Chigusa Kobayashi, Eiro Muneyuki, and *Yuji Sugita,
CHARMM Force-Fields with Modified Polyphosphate Parameters Allow Stable Simulation of the ATP-Bound Structure of Ca2+-ATPase,
Journal of Chemical Theory and Computation 10, 4133−4142 (2014).

概要: 分子動力学計算で用いるATPの力場をメチル三リン酸に対する量子論的計算にもとづき作成した.この新しいパラメーターをCa-ATPaseを含む5種類の蛋白に結合したATPに用い,それぞれに従来の力場より安定な結果を得た.従来のパラメーターでは伸びた状態が主に見られたが新しいパラメーターでは寄り広い範囲のコンフォメーションのサンプリングができ,PDBに見られる多様なATPの結合状態と符号した.この新しいパラメーターはATPを利用する多くの蛋白の研究に役立つと考えられる. 【宗行英朗(研究の支援)】

Phuc Nghia Nguyen, Mariam Veschgini, Motomu Tanaka, Gilles Waton, Thierry Vandammec and *Marie Pierre Krafft,
Counteracting the inhibitory effect of proteins towards lung surfactant substitutes: a fluorocarbon gas helps displace albumin at the air/water interfac,
Chemical Communications 50, 11576-11579 (2014).

概要: 急性呼吸窮迫症候群では、肺胞表面に血清タンパクが急激に定着しリン脂質を阻害するために、肺サーファクタントであるDPPCによる治癒効果が不活化する。これまでに私たちは、人工呼吸程度の周期による表面積の正弦振動条件下では、静的条件下では生じなかったDPPCによる血清タンパクBSAの置換が起こることを発見したが、その完全な置換にはおよそ11時間必要であった。本論文では、より急速な置換を示す実用的な系を設計するために、気相を生物学的に不活性なフルオロカーボンの一種であるパーフルオロヘキサンの気体で置換した気液界面に注目し、タンパクの表面吸着ダイナミクスを測定した。その面積を正弦振動させた液中気泡と平面気液界面の2つの実験系を用い、DPPCとBSAの競合的吸着の様子を表面張力と蛍光観察から測定した。その結果、フルオロカーボンガスの存在時にはDPPCによるBSAの置換が大幅に加速し、その時定数が1桁小さくなることを明らかにした。このときBSAは完全に置換され、非可逆であることが明らかになった。

Mihoko Kajita, Kaoru Sugimura, Atsuko Ohoka, Jemima Burden, Hitomi Suganuma, Masaya Ikegawa, Takashi Shimada, Tetsuya Kitamura, Masanobu Shindoh, Susumu Ishikawa, Sayaka Yamamoto, Sayaka Saitoh, Yuta Yako, Ryosuke Takahashi, Takaharu Okajima, Junichi Kikuta, Yumiko Maijima, Masaru Ishii, Masazumi Tada, and *Yasuyuki Fujita,
Filamin acts as a key regulator in epithelial defence against transformed cells,
Nature Communications 5, 4428/1-13 (2014).

概要: 本論文は、正常細胞とがん細胞の相互作用におけるフィラミン分子の役割に関する研究である。当メンバーは、プローブ顕微鏡を用いた正常細胞とがん細胞の力学特性の計測に関して本研究に寄与した。

Shunchi Kawasaki, *Takahiro Muraoka, Haruki Obara, Takerou Ishii, Tsutomu Hamada, *Kazushi kinbara,
Thermodriven Micrometer-Scale Aqueous-Phase Separation of Amphiphilic Oligoethylene Glycol Analogues,
Chemistry-An Asian Journal 9, 2778-2788 (2014).

概要: LCST型相分離を示す新規PEG化合物の特性を明らかにした。温度上昇により、マイクロサイズの相分離ドメインが安定に形成されることが分った。また、相分離システムを利用したゲスト分子分離機能の可能性を示した。

Hideaki Matsubayashi, Yutetsu Kuruma, and Takuya Ueda,
In vitro synthesis of the E. coli Sec Translocon from DNA,
Angewandte Chemie International Edition 53, 7535-7538 (2014).

概要: 生きた細胞の仕組みを詳細に理解するために、DNA、タンパク質、脂質などの生体分子を組み合わせて、人工細胞を作製する研究が注目されている。しかし、それら細胞内分子を包み込む細胞膜の作製は、細胞膜上で働く膜タンパク質をうまく合成するための有効な方法がなかったため非常に難しく、これまで人工細胞の実現を妨げていた。この問題に対し筆者らは、東京大学上田卓也教授の開発した試験管内タンパク質合成システム(PURE system)を用いて、膜タンパク質の合成に必須な膜上の分子装置(Sec Translocon)を作製し、細胞と同じプロセスで膜タンパク質を合成することに成功した。この成果は、自律的に膜タンパク質を合成できる人工細胞の構築につながるものである。

Yoshiaki Kinosita, Daisuke Nakane, Mitsuhiro Sugawa, Tomoko Masaike, Kana Mizutani, Makoto Miyata, and *Takayuki Nishizaka,
Unitary step of gliding machinery in Mycoplasma mobile,
Proceedings of the National Academy of Sciences 111, 8601-8606 (2014).

Tatsuya Shima, Takahiro Muraoka, Tsutomu Hamada, Masamune Morita, Masahiro Takagi, Hajime Fukuoka, Yuichi Inoue, Takashi Sagawa, Akihiko Ishijima, Yuki Omata, Takashi Yamashita, *Kazushi Kinbara,
Micrometer-Size Vesicle Formation Triggered by UV Light,
Langmuir 30, 7289-7295 (2014).

概要: 新規合成両親媒性分子を用いて、ベシクル形成を光でコントロールした。合成両親媒性分子とリン脂質から成る分子凝集体にUV照射すると、凝集体表面からベシクルが自発的に形成されることを見出した。

Masamune Morita, *Tsutomu Hamada, Mun’delanji C. Vestergaard, Masahiro Takagi,
Endo- and Exocytic Budding Transformation of Slow-Diffusing Membrane Domains Induced by Alzheimer’s Amyloid Beta,
Physical Chemistry Chemical Physics 16, 8773-8777 (2014).

概要: 相分離により流動性の異なる領域が共存するベシクルとアミロイドβペプチドの相互作用を解析した。disorder 相領域へのペプチドの選択的局在、およびorder 相領域の出芽ダイナミクスを発見した。また、ドメイン拡散係数の減少および膜の粘性増加がペプチドにより引き起こされることが分った。 【今井正幸(実験結果の議論)、好村滋行(解析アドバイス)】

Nataliya Frenkel, Jens Wallys, Sara Lippert, Jörg Teubert, Stefan Kaufmann, Aparna Das, Eva Monroy, Martin Eickhoff and *Motomu Tanaka,
High Precision, Electrochemical Detection of Reversible Binding of Recombinant Proteins on Wide Bandgap GaN Electrodes Functionalized with Biomembrane Models,
Advanced Functional Materials 24, 4927–4934 (2014).

概要: 本論文では、n型ガリウムナイトライド電極を脂質単分子膜の支持膜により被覆した新規の電荷センサーの開発について報告した。オクタデシルトリメトキシシランの被覆により疎水化された電極基板上に、キレーター脂質分子を含む脂質ベシクルを用いて被覆した。これにより、ヒスチジンタグを持つ組替タンパクのキレーターへの結合を検知する。さらに透明なガリウムナイトライド基板を用いることで、支持膜の流動性を蛍光回復法(FRAP)で確認した。溶液-有機絶縁体‐半導体型の構造を用いることで、表面荷電密度の変化ΔQを表面キャパシタンスΔCp、フラットバンドポテンシャルΔUFBに変換することに成功した。これらにより、キレートを介したヒスチジン-eGFP間結合及びそのEDTAによる脱離に伴う表面荷電密度の可逆変化を高感度に検知することに成功した。実現された分解能ΔQ≧0.1μC/cm^2は支持膜被覆p型ヒ化ガリウム(0.9μC/cm^2)や高分子支持脂質単分子膜被覆ITO(2.2μC/cm^2)を大きく上回った。さらに、室温で光ルミネッセントシグナルから表面ポテンシャルの変化を検知するための光活性型inGaN/GaN量子ドット構造の応用に向けて試験を行った。

*Yoshihiro Shimizu, Yutetsu Kuruma, Takashi Kanamori, Takuya Ueda ,
The PURE system for protein production,
Methods in Molecular Biology 1118, 275-284 (2014).

概要: 分子生物学や生化学の分野では、精製タンパク質の入手はそのタンパク質の生理学的意義や機能を理解する上で重要である。近年の無細胞系の発展は、試験管内での迅速なパンパク室合成を可能にしてきている。PURE systemと呼ばれる再構築型の無細胞系はその発展性・利便性において高度に優れている。今回、PURE systemを使ったリコンビナントタンパク質の合成と生化学的・分子生物学的解析について報告する。