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A03公募(2016-17) 田中 求

論文等 | 原著論文

2016

Viktoria Frank, Stefan Kaufmann, Rebecca Wright, Patrick Horn, Hiroshi Yoshikawa, Patrick Wuchter, Jeppe Madsen, Andrew Lewis, Steven P. Armes, Anthony D. Ho, and *Motomu Tanaka,
Frequent mechanical stress suppresses proliferation of mesenchymal stem cells from human bone marrow without loss of multipotency,
Scientific Reports 6, 24264 (2016).

概要: 近年多くの研究が、骨髄由来のヒト間葉系幹細胞(hMSC)の分化が生化学的な要素だけでなく、基板のトポグラフィーや剛性などの物理的微小環境にも影響を受けることを示してきた。筆者らは「生きた(in vivo)」骨髄内の幹細胞微小環境が動的に制御されていることに注目し、従来型の共有結合で化学架橋されたヒドロゲルに代わって、基板の硬さ(弾性率)を微小な化学刺激により自在に変えられる、物理架橋した生体適合性ヒドロゲル材料を新たに考案した。このヒドロゲル基板上で増殖させたhMSCは、基板の弾性率に関わらず、20日にわたり多分化能マーカーであるSTRO-1の発現を90%以上維持した。この培養hMSCを脂肪や骨分化を誘導する培養液に移すと、脂肪細胞や骨芽細胞へと分化をした。興味深いことに、基板の弾性を変化させる周期を短くしていくと幹細胞は多分化能を保ったままで増殖が顕著に減少した。たとえば1日おきに基板の硬さを変化させた基板上ではhMSCの増殖は最大90%まで抑制された。このような「動的in vitro幹細胞ニッチ」はhMSCの運命に与える動的な力学的ストレスの役割を明らかにするのに応用できるだけでなく、幹細胞をin vitroで同期化した上で分化誘導する技術基盤となることが期待できる。

Mariam Veschgini, F. Gebert, Nyamdorj Khangai, H. Ito, Ryo Suzuki, Thomas W. Holstein, Yasushi Mae, Takero Arai, and *Motomu Tanaka,
Tracking mechanical and morphological dynamics of regenerating Hydra tissue fragments using a two fingered micro-robotic hand,
Applied Physics Letters 108, 103702 (2016).

概要: ヒドラの細胞組織切片は再生過程において形状を能動的に変化させる。本論文では、力と変形が密接に関係する細胞組織の力学をより定量的に理解するため、精密制御可能な2本指マイクロハンドを用いて再生ヒドラ切片の体積弾性率を非侵襲的かつ高精度で評価した。また、ひずみを一定に保ち、応力の緩和を測定することで、ヒドラ切片の粘弾性特性を決定した。さらに、ヒドラ切片が生み出す力をマイクロハンドによって測定し、その時間変化周期と形状変化の周期が一致することを明らかにした。