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A03公募(2016-17) 木村 暁

論文等 | 原著論文

2016

*Yuko Sato, Tomoya Kujirai, Ritsuko Arai, Haruhiko Asakawa, Chizuru Ohtsuki, Naoki Horikoshi, Kazuo Yamagata, Jun Ueda, Takahiro Nagase, Tokuko Haraguchi, Yasushi Hiraoka, Akatsuki Kimura, Hitoshi Kurumizaka, and *Hiroshi Kimura,
A genetically encoded probe for live-cell imaging of H4K20 monomethylation.,
Journal of Molecular Biology 428, 3885-2902 (2016).

概要: 本研究ではヒストンH4蛋白質の20番目のリジン残基がモノメチル化修飾された状態(H4K20me1)を特異的に生体内で可視化する技術の開発に成功した。ヒストンタンパク質はDNAと共に遺伝情報を司る染色体の主要な構成成分であり、ヒストン蛋白質の化学修飾は、遺伝子の働きを制御する重要な役割を果たしている。その中でもH4K20me1は、DNA損傷修復や不活性X染色体の目印として重要であることが知られていたが、生きた細胞内での修飾の変化を観察する技術はなかった。今回、H4K20me1に特異的に結合する抗体の遺伝情報を利用して、生きた細胞内でH4K20me1を検出する細胞内抗体プローブH4K20me1-mintbodyを開発し、生きた細胞や線虫で転写抑制されたX染色体のライブイメージングに成功した。このプローブはヒストンの化学修飾による遺伝子の制御の解明に今後広く利用することが期待される。

Ritsuya Niwayama, Hiromichi Nagao, Tomoya Kitajima, Lars Hufnagel, Kyosuke Shinohara, Tomoyuki Higuchi, Takuji Ishikawa, and *Akatsuki Kimura,
Bayesian Inference of Forces Causing Cytoplasmic Streaming in Caenorhabditis elegans Embryos and Mouse Oocytes.,
PLoS ONE 11, e0159917 (2016).

概要: 本研究では、細胞内での大規模な物質の流動現象である細胞質流動に着目し、線虫(C. elegans)とマウスの細胞内の流動の方向性や速さを詳細に定量化しました。この計測データと流体力学シミュレーションモデルを統合したデータ同化によって、流動を引き起こす原動力の強さと分布を推定しました。推定された力の分布は、力の発生に重要な分子の分布と一致し、本手法の妥当性が支持されました。マウスと線虫では原動力の分布が異なっていましたが、その違いはそれぞれの細胞での流動の機能と合致していて、機能に適した力の分布をそれぞれの細胞がとっていることが示唆されました。本手法は生体内で生じる様々な流れの解析に適用可能で、今後多くの研究者に活用されることが期待されます。

*Shigeru Matsumura, Tomoko Kojidani, Yuji Kamioka, Seiichi Uchida, Tokuko Haraguchi, Akatsuki Kimura, and Fumiko Toyoshima,
Interphase adhesion geometry is transmitted to an internal regulator for spindle orientation via caveolin-1.,
Nature Communications 7, 11858 (2016).

概要: 接着型の細胞において、細胞分裂の方向は、間期の細胞の形(長軸方向)と強い相関があることが知られているが、細胞は分裂期に球状となるため、形の情報が失われる。このことから細胞には、間期の形の情報を分裂期の細胞に伝えるメカニズムがあることが疑われるが、その実体は不明であった。本研究では、細胞が分裂期に球状に変形する際に、間期で細胞の長軸方向の細胞膜が他の細胞膜領域に比べて収縮度が高いこと、さらには、この領域にカベオリン1タンパク質が濃縮することを見出した。カベオリン1タンパク質の濃縮は細胞外基質接着に依存することから、間期の細胞形状を分裂期の細胞へ伝える役割が考えられた。実際に、カベオリン1タンパク質は、細胞分裂の方向を決定付ける紡錘体と呼ばれる構造体の方向を制御することを見出した。以上の結果より、細胞がカドヘリン1タンパク質を介して、間期の形状依存に細胞分裂の方向を制御するメカニズムが明らかとなった。