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A04班

論文等 | 原著論文

2017

*Che-hsiu Hsueh, Wen-Chin Wu, and Makoto Tsubota,
Quantum crystallography of Rydberg-dressed Bose gases on a square lattice,
Physical Review A 95, 013631/1-5 (2017).

概要: 2次元正方格子上に置かれたRydberg型の長距離相互作用をもつボース気体の基底状態を、平均場グロス・ピタエフスキー方程式により調べた。相互作用の特徴的距離とポテンシャルの深さに依存して、アモルファス、多結晶、ボース・グラス等多彩な基底状態が得られた。これらの状態の異方的超流動密度を求めた。

*Fuyuki Nabeshima, Yoshinori Imai, Ichiro Tsukada, and Atsutaka Maeda,
Growth and transport properties of FeSe/FeTe superlattice thin films,
Japanese Journal of Applied Physics 56, 020308 (2017).

概要: FeSeとFeTeの超格子をPLD法で作製することに成功し,数層の厚みのFeSeまたはFe(Se,Te)が,バルクより高い臨界温度を持つことを示した。上部臨界磁場の異方性の測定より,これは超格子にしたことによる効果の表れであると考えられる。

2016

Yasuaki Morigaki, *Hirofumi Wada and *Yoshimi Tanaka,
Stretching an elastic loop: Crease, helicoid, and pop-out,
Physical Review Letters 117, 198003 (2016).

概要: 紙をリボン状に切り出し、輪っかをつくってから両端をひっぱる。十分輪っかが小さくなったとき、ある場合にはしわができてそのまま折れてしまうが、別の場合には輪っかにたまった「ねじれ」が突如、リボン全体に伝播してリボンが飛び上がる。この簡単な現象を実験、理論、シミュレーションを組みあわせて詳細に調べた。異なる転移を支配する幾何学的なパラメータおよび特徴的な長さスケールを特定し、リボンのふるまいを決める幾何学と力学の深い結びつきを明らかにした。

*Yuichi Sawada, Fuyuki Nabeshima, Daisuke Asami, Ryo Ogawa, Yoshinori Imai,
Transport properties of FeSe1-xTex thin films under magnetic fields up to 8 T,
Physica C 530, 27-30 (2016).

概要: PLD法で作製したCaF2上のFeSe1-xTex薄膜(xは0から1まですべてをカバー)において,磁場中超伝導特性やホール効果を測定し,上部臨界磁場の異方性やホール係数の温度依存性が組成とともにどのように変化するかをしらべた。

*Yoshinori Imai, Yuichi Sawada, Daisuke Asami, Fuyuki Nabeshima, Atsutaka Maeda,
Superconducting properties of FeSe1-xTex films with x = 0-0.4,
Physica C 530, 24-26 (2016).

概要: CaF2上にFeSe1-xTex薄膜を作製し,一定のTe組成に対してバルク試料で見られた相分離が完全に抑制され,かつ,バルク試料では相分離が起こる組成において,臨界温度が最高値を取り,それは従来知られていたバルク試料の最高値の1.5倍になることが分かった。

Daichi Suzuki, Shunri Oda and *Yukio Kawano,
A flexible and wearable terahertz scanner,
Nature Photonics 10, 809-814 (2016).

概要: カーボンナノチューブ膜がテラヘルツ光をよく吸収することを用いて、フレキシブルなカメラを開発した。テラヘルツイメージング測定から、異種材料界面での強いテラヘルツ応答を見出した。この結果から、応答メカニズムが電子の加熱効果に基づくことがわかった。

Daichi Matsumoto, Koji Fukudome and *Hirofumi Wada,
Two-dimensional fluid dynamics in a sharply bent channel: Laminar flow, separation bubble and vortex dynamics,
Physics of Fluids 28, 103608 (2016).

概要: 鋭い曲がりを持つ流路内の2次元的な流れを、ナビエストークス方程式の直接数値計算によって調べた。レイノルズ数10^4までのながれを分類し、層流の不安定化、エッジ後方での剥離、渦の周期放出のダイナミクスを特徴づけた。スケーリング則をもちいて流量損失や渦列のふるまいを議論した。これらの結果は、複雑な分岐構造をもつ肺気管内の空気の流れを理解するために役立つかもしれない。

*Ichiro Tsukada, Ataru Ichinose, Fuyuki Nabeshima, Yoshinori Imai, Atsutaka Maeda,
Origin of lattice compression of FeS1-xTex thin films on CaF2 substrates.,
AIP Advances 6, 095314/1-7 (2016).

概要: Feカルコゲナイドエピタキシャル薄膜の高分解能TEM断面観察とEDXによる組成分析を行い,臨界温度と結晶構造,界面の清浄度,ひずみの大きさとの関係を議論した.

Hirofumi Wada,
Structural mechanics and helical geometry of thin elastic composites,
Soft Matter 12, 7386-7397 (2016).

概要: 弾性リボンと膜からなる複合材料がらせんの形状をとるための力学的な仕組みと条件について理論的に考察した。結果は、ある種のバクテリアのらせん細胞やその他らせん的なかたちをとる自然界の構造物の理解に役立つ。

Xiangying Deng, Shunri Oda, and *Yukio Kawano,
Frequency Selective, High Transmission Spiral Terahertz Plasmonic Antennas,
Journal of Modeling and Simulation of Antennas and Propagation​​ 2, 1-6 (2016).

概要: テラヘルツ波の波長よりも小さい微小サンプルの解析を行うには、サブ波長空間にテラヘルツ電界を集中させる必要がある。さらに、複数の周波数帯での測定が必要となる。これらの条件を満たすため、スパイラル形状のプラズモニック構造を新規に提案した。電磁界シミュレーションの結果から、スパイラルの形状によって任意に周波数帯域を設定できることを示した。

*Hideyuki Takahashi, Yoshinori Imai, Atsutaka Maeda,
Low-temperature-compatible tunneling-current-assisted scanning microwave microscope utilizing a rigid coaxial resonator,
Review of Scientific Instruments 87, 063706/1-6 (2016).

概要: 空間分解能200nmで11GHzにおける複素電気伝導度の空間分布を非接触で液体ヘリウム中で測定できる,マイクロ波顕微鏡を開発した。その装置の詳細な報告。同装置は,同軸共振器とエバネセント波を組み合わせた構造をしており,STMとしても使うことができる。

*Yuichi Sawada, Fuyuki Nabeshima, Yoshinori Imai, Atsutaka Maeda,
Investigation of Transport Properties for FeSe1-xTex Thin Films under Magnetic Fields.,
Journal of the Physical Society of Japan 85, 073703/1-4 (2016).

概要: PLD法で作製したCaF2上のFeSe1-xTex薄膜(xは0から1まですべてをカバー)において,磁場中超伝導特性やホール効果を測定し,上部臨界磁場の異方性やホール係数の温度依存性が組成とともにどのように変化するかをしらべることにより,臨界温度があるTe組成xで急に変化する原因を議論した。

*Shinichi Ikawa, and Makoto Tsubota,
Coflow turbulence of superfluid 4He in a square channel: Vortices trapped on a cylindrical attractor,
Physical Review B 93, 184508/1-8 (2016).

概要: 超流動4Heのcoflowと呼ばれる状況での量子乱流の数値的研究を行った。歴史的に研究されて来た熱対向流とは異なり、coflowとは超流体と常流体が同方向に流れる状況である。昨年行われた実験が本研究の動機である。この場合、量子渦を引き込むアトラクターが出現することがわかった。量子渦はアトラクターに引き込まれ、非一様な乱流構造を作る。

*Kazuya Fujimoto, Makoto Tsubota,
Direct and inverse cascades of spin-wave turbulence in spin-1 ferromagnetic spinor Bose-Einstein condensates,
Physical Review A 93, 033620/1-10 (2016).

概要: スピノール・ボース・アインシュタイン凝縮におけるスピン波の波動乱流を解析的および数値的に研究した。弱波動乱流理論をこの系に適用し、特徴的なベキ乗則を持つ、順カスケードおよび逆カスケードが生じることを見いだした。グロス・ピタエフスキー方程式の数値計算意より、この描像を確認した。

*John J. Molina, Kotaro Otomura, Hayato Shiba, Hideki Kobayashi, Masaki Sano, and Ryoichi Yamamoto,
Rheological evaluation of colloidal dispersions using the smoothed profile method: formulation and applications,
Journal of Fluid Mechanics 792, 590-619 (2016).

概要: コロイド分散系のレオロジー特性を、粒子間の流体力学相互作用を直接ナビエストークス方程式の数値シミュレーションで評価するための方法論の大幅な拡 張を行った。具体的には、均一なせん断流を実現する Lees-Edwards 周期境界条件の下で、 粒子分散系のレオロジー特性を評価するための定式化を行った。この拡張により、系の粘性を調べる際に一般的な定常(DC)せん断流だけではなく、粘弾性を調べる際に必要となる振動せん断流をも実現することが可能となったのみならず、系の全応力や任意の場所に おける局所応力など、レオロジー評価に必要な全ての物理量を直接数値計算で求めることが 可能となった。

*Yuji Hirokane, Yasuhide Tomioka, Yoshinori Imai, Atsutaka Maeda, Yoshinori Onose,
Longitudinal and transverse thermoelectric transport in MnSi,
Physical Review B 93, 014436/1-5 (2016).

概要: MnSi単結晶でゼーベック効果およびネルンスト効果を温度・磁場の関数として測定し,ネルンスト効果の異常部分は,電子のベリー位相に関係した現象であること,またスキルミオン格子への相転移においては,これらの熱電信号はほとんど変化しないことを明らかにした。

Shugo Yasuda and Ryoichi Yamamoto,
Synchronized molecular-dynamics simulation for the thermal lubrication of a polymeric liquid between parallel plates,
Computers & Fluids 124, 185 (2016).

2015

*Satoshi Yui, Kazuya Fujimoto, Makoto Tsubota ,
Logarithmic velocity profile of quantum turbulence of superfluid 4He,
Physical Review B 92, 224513/1-5 (2015).

概要: 古典乱流の最も重要な統計則と言えば、バルクのコルモゴロフの-5/3則と、乱流境界層の対数型速度分布である。コルモゴロフ則は量子乱流でも示されたが、後者は研究されたことがなかった。ここでは、量子乱流境界層を、量子渦糸モデルにより数値的に調べ、初めて、対数型速度分布を得た。また、それが、量子渦の管中央部から壁への移動に伴う運動量輸送に基づくことを示した。

Michiel Laleman, Marco Baiesi, Boris P. Belotserkovskii, Takahiro Sakaue, Jean-Charles Walter,and *Enrico Carlon,
Torque-Induced Rotational Dynamics in Polymers: Torsional Blobs and Thinning,
Macromolecules 49, 405-414 (2015).

概要: 長くて柔らかい高分子鎖の一端を棒状の障害物に固定し、棒を回転させると高分子は棒の周りに巻きついていく。この状況は、ポリメラーゼによるDNA, RNA合成過程との関連から興味深い。本研究では、理論とシミュレーションにより、この系の定常状態(トルク-角速度関係、鎖の動的なコンフォメーション)の解析を行った。特に、「ねじれブロブ」(torsional blob)という概念を導入し、「鎖の一端を引っ張った時の伸張」と「トルク下での回転」との類似点、差異を明確にした。

Kristopher Erickson, Xiaowei He, A. Alec Talin, Bernice Mills, Robert H. Hauge, Takashi Iguchi, Naoki Fujimura, Yukio Kawano, *Junichiro Kono, *François Léonard,
Figure of Merit for Carbon Nanotube Photothermoelectric Detectors,
ACS Nano 9, 11618–11627 (2015).

概要: カーボンナノチューブ薄膜素子の光・熱応答について包括的な測定・解析を行った。さらに電圧揺らぎスペクトルを測定することで、揺らぎがジョンソンノイズの極限にまで達していることを見い出した。これらの結果から、光検出性能を見積もった。

*Takuya Saito, *Takahiro Sakaue,
Driven anomalous diffusion: An example from polymer stretching,
Physical Review E 92, 012601/1-13 (2015).

概要: 高分子系に見られる多くの異常ダイナミクスにおいて本質的に重要となる鎖に沿っての張力伝播様式について、理論的な研究を行った。中でも、鎖を強い力で引っ張る場合に見られる非平衡ダイナミクスを記述する非線形記憶カーネルを導出し、伸長過程のゆらぎの特性を議論した。 【齋藤拓也(理論解析、MDシミュレーション)】

Chunyu Shih, John J. Molina, and Ryoichi Yamamoto,
Dynamic polarisation of a charged colloid in an oscillating electric field,
Molecular Physics 113, 2511 (2015).

C. Patrick Royall, Jens Eggers, *Akira Furukawa, and Hajime Tanaka,
Probing colloidal gels at multiple length scales: The role of hydrodynamics,
Physical Review Letters 114, 258302 (2015).

概要: コロイド分散系のゲル化に与える流体力学的相互作用の効果について、コンピュータを用いた大規模シミュレーションと実験との比較検討を行った。その結果、凝集初期における流体効果による(ゲル構造形成の核となる)異方的構造の形成促進を定量的に明らかにした。

Gregory Lecrivain, Giacomo Petrucci, *Uwe Hampel and Ryoichi Yamamoto,
Attachment of solid elongated particles on the surface of a stationary gas bubble,
International Journal of Multiphase Flow 71, 83-93 (2015).

概要: 浮選プロセスは,水中に浮遊する固体粒子の気泡表面への付着に依存する。本研究は、付着機構に関する粒子形状の効果を調べることが目的である。自作の光学マイクロバブルセンサーを用いて、ガラスファイバー粒子の気泡への接近過程,スライド過程,付着過程を観察した。様々な長さのガラスファイバーについて,並進および回転速度を測定し,実験結果を理論モデルやガラス球に対する実験結果と比較した。

*Kazuya Fujimoto and Makoto Tsubota,
Bogoliubov-wave turbulence in Bose-Einstein condensates,
Physical Review A 91, 053620/1-12 (2015).

概要: 原子気体ボース・アインシュタイン凝縮体において、素励起であるボゴリュウーボフ励起が作る波乱流に関して、グロス・ピタエフスキーモデルに基づき、数値的および解析的研究を行った。波動関数や密度揺らぎのスペクトルに対し、特徴的なべき則を解析的に見いだし、数値計算で確認した。

*Satoshi Yui and Makoto Tsubota,
Counterflow quantum turbulence of He-II in a square channel: numerical analysis with nonuniform flows of the normal fluid,
Physical Review B 91, 184504/1-12 (2015).

概要: 超流動4Heの熱対向流において、非一様な常流体流れ場の元での渦糸モデルによる数値計算を行い、常流体流れ場と容器壁の影響を受けた非一様量子乱流を生成し、その挙動の詳細を調べた。従来の研究の多くは一様系に限られていたが、近年の優れた可視化実験は、常流体流れの得意な非一様性を明らかにした。そのような常流体流れのもとでどのような量子乱流が生成されるかを調べた。

Elisa Zemma, Makoto Tsubota, and Javier Luzuriaga,
Possible Visualization of a Superfluid Vortex Loop Attached to an Oscillating Beam,
Journal of Low Temperature Physics 179, 310-319 (2015).

概要: 超流動ヘリウムにおいて、振動物体に付着して振動する量子渦の運動を、固体水素粒子を用いて可視化した。量子渦の運動の理論解析から、確かに観測されたものが、量子渦である可能性が高い事を示した。このような振動物体周りの量子渦の可視化が行われたのは、初めてである。

Andrew J. Dunleavy, Karoline Wiesner, Ryoichi Yamamoto, and *C. Patrick Royall,
Mutual information reveals multiple structural relaxation mechanisms in a model glassformer,
Nature Comm. 6, 6089/1-8 (2015).

概要: ガラスを構成する個々の分子は,一見完全にランダムに見えつつも,それぞれ他の分子と情報を交換しながら複雑に連動して動いている.情報理論は,それらの間にある隠れた規則性を感知し,定量化するための数学的なツールを我々に提供するものである.今回,コンピュータシミュレーションと情報理論とを組み合わせた研究を行い,ガラス状態にある物質中では,固体的領域と液体的領域が混在するものの,低温・高密度になるほど固体的領域のサイズが増大し,その領域では分子がある特定の幾何学的構造(例えば正20面体)に組織化されていることを発見した.【京都大学とブリストル大学で同時にプレスリリースを行った】

2014

Ahmed Khorshid, Philip Zimny, David Tetreault-La Roche, Geremia Massarelli, *Takahiro Sakaue, and *Walter Reisner,
Dynamic Compression of Single Nanochannel Confined DNA via a Nanodozer Assay,
Physical Review Letters 113, 268104:1-5 (2014).

概要: ナノチャンネル(ナノスケールの微細管)中で、DNAの非平衡ダイナミクスを探索する実験系を構築し、動的圧縮現象についての実験と理論的解析を行った。実験系は、光学的にトラップしたビーズを用いてDNA一分子の動きを制御する「ナノピストン」であり、ナノスケールでのブルドーザーという意味を込めて、「ナノドーザー」と命名した。ナノドーザーの操作速度を増すにつれ、DNAはいくつかの特徴的な動的圧縮挙動を示すことを実証し、移流拡散方程式の解析からこの過程を記述するスケーリング則を構築した。【PRL Editors' Suggestionに選定】

*Miho Yanagisawa, Shinpei Nigorikawa, Takahiro Sakaue, Kei Fujiwara, and Masayuki Tokita,
Multiple patterns of polymer gels in microspheres due to the interplay among phase separation, wetting, and gelation,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 111, 15894-15899 (2014).

概要: 高分子ブレンドが細胞スケールの閉じた空間(W/O微小液滴)で形成するパターンについて、閉じ込めが相分離、ゲル化、濡れのダイナミクスに及ぼす影響に着目して研究を行った。ゲル相と液滴界面との濡れ性を調節することにより、微小サイズの中空カプセルを作成できることを示し、このカプセル壁の厚みを制御する要因を考察した。マイクロゲルが液滴界面に部分的に濡れる場合は、濡れと弾性効果との競合による液滴の変形が見られ、この現象に対するサイズ効果を解析した。また、相分離後、ゲル化を開始するまでの待ち時間を制御することにより、ディスク型、星形などの多様な形状のマイクロゲルを形成できることを示した。

Shugo Yasuda and Ryoichi Yamamoto,
Synchronized molecular dynamics simulation via macroscopic heat and momentum transfer: an application to polymer lubrication,
Phys. Rev. X 4, 041011/1-10 (2014).

概要: 複雑流体の非等温流れ挙動をモデル化するために,巨視的な熱と運動量の輸送を介して同期するシンクロナイズド分子動力学シミュレーション法を提案した。この方法では、局所的な応力と温度を計算するために小さな分子動力学シミュレーションのセルが各流体要素に割り当てられており,それらのセルが巨視的な熱及び運動量の輸送を考慮するために一定の時間間隔で同期されているのである。この方法を、平行平板間に挟まれた1分子当り10個のビーズからなる短いモデル高分子液体の潤滑の問題に適用した。

Adnan Hamid, John J. Molina, and Ryoichi Yamamoto,
Direct Numerical Simulations of Sedimenting Spherical Particles at Finite Reynolds Number,
RSC Advances 4, 53681-53693 (2014).

概要: 懸濁液中を沈降する粒子の静的および動的性質に対する慣性の効果を明らかにするため,体積分率0.01~0.4の広い範囲にわたって直接数値シミュレーションを行った。粒子群の微視的な構造に対して,Re=1で慣性力は有意な効果を示し始める。1つの粒子の周りに他の粒子が近づかないことによる空隙が出現するが,それは重力方向により顕著に表れる。また,同様の効果はRe=10ではより強調される。

Shugo Yasuda and Ryoichi Yamamoto,
Multiscale simulation for thermo-hydrodynamic lubrication of a polymeric liquid between parallel plates,
Molecular Simulation 41, 1002 (2014).

Akira Furukawa, Davide Marenduzzo, and Michael E. Cates,
Activity-induced clustering in model dumbbell swimmers: The role of hydrodynamic interactions,
Physical Review E 90, 22303 (2014).

概要: モデル微生物(アクティブ粒子)系の集団運動に及ぼす流体力学的相互作用の効果について数値的に検討した。流体力学的相互作用がある場合、アクティブ粒子は相互に影響し合い、自己推進性そのものが強く影響を受ける。特に、(多くのバクテリアで見られる)双極子的な自己推進力を備えたアクティブ粒子系では、流体力学的相互作用による自己トラップにより、引力的なポテンシャル相互作用のない場合でも、過渡的な巨大構造(クラスター)形成が促進されうる。このような流体効果を反映したアクティブ粒子のモビリティは密度や泳動メカニズムに強く依存することも併せて示した。

Ken-ichi Mizuochi, Hiizu Nakanishi, and *Takahiro Sakaue,
Dynamical scaling of polymerized membranes,
Europhysics Letters 107, 38003:p1 -p6 (2014).

概要: モノマーを二次元網目状に重合した「高分子膜」(polymerized membrane)のダイナミクスをモンテカルロシミュレーションにより研究した。特に、膜中の着目モノマーの変位を、膜面の法線方向と、それに直交する面内成分とに分解し、それぞれの方向における異常拡散指数を同定した。これらの拡散指数と、膜面の統計的構造を反映する粗さ指数との関係を動的スケーリングの立場から議論した。また、膜面の静的構造を記述する自由エネルギーから出発し、モノマーのダイナミクスを記述する一般化ランジュバン方程式を導出し、異常拡散を引き起こす記憶効果の起源を明確にした。最後に、長距離に及ぶ流体力学的相互作用の効果を議論した。

*Kazuya Fujimoto, Makoto Tsubota,
Spin-superflow turbulence in spin-1 ferromagnetic spinor Bose-Einstien condensates,
Physical Review A 90, 013629/1-7 (2014).

概要: スピン1スピノールボース・アインシュタイン凝縮体におけるスピンと超流動が結合した新たな乱流状態ースピン・超流動乱流ーに関して、理論的および数値的研究を行った。スピンのエネルギースペクトルが-7/3、超流動のエネルギースペクトルが-5/3の特徴的なべきを示すことを見いだした。

Adnan Hamid, John J. Molina, and Ryoichi Yamamoto,
Simulation studies of microstructure of colloids in sedimentation,
Molecular Simulation 41, 968 (2014).

Chunyu Shih and Ryoichi Yamamoto,
Dynamic electrophoresis of charged colloids in an oscillating electric field,
Physical Review E 89, 062317-1-11 (2014).

概要: Smoothed Profile法による直接数値計算により,電解質溶液中の荷電コロイド粒子のダイナミクスを調べた.周波数ωで振動する外部電場の元で複素易動度μ(ω)を求め,3つの異なる周波数領域に分けられることを示した.今回の結果は希薄な条件で近似理論の結果を再現するが,濃厚になると系統的な差が生じることもわかった.

Ai Nakatsuji, *Makoto Tsubota, and Hideo Yano,
Statistics of vortex loops emitted from quantum turbulence driven by an oscillating sphere,
Physical Review B 89, 174520/1-7 (2014).

概要: 超流動ヘリウム中では、物体を振動させることで量子乱流が形成されることが知られている。本研究では、近年行われている大阪市大グループの実験に関連して、振動球が形成する量子乱流と、そこから放出される渦輪の統計量、特にサイズ分布と、放出方向の異方性について、渦糸モデルによる数値計算で調べた。残留渦を想定して一定の大きさの渦輪を種渦として与えるも、振動球による量子乱流の生成を介して渦輪はシャッフルされ、より広範なサイズ分布をとるようになる。また、固体球の振動方向に、より多数の渦輪が放出される。

Xiaowei He, Naoki Fujimura, J. Meagan Lloyd, Kristopher J. Erickson, A. Alec Talin, Qi Zhang, Weilu Gao, Qijia Jiang, Yukio Kawano, Robert H. Hauge, *François Léonard and *Junichiro Kono,
Carbon Nanotube Terahertz Detector,
Nano Letters 14, 3953–3958 (2014).

概要: 高いテラヘルツ(THz)吸光度を持つ高密度・高配向カーボンナノチューブアレイのTHz応答の研究を行った。THz吸収により光熱起電力が発生することを見出した。