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A04公募班(2016-2017)

論文等 | 原著論文

2018

Jim Gao, *Wei Guo, Satoshi Yui, Makoto Tsubota, and W. F. Vinen,
Dissipation in quantum turbulence in superfluid 4He above 1 K,
Physical Review B 97, 184518/1-10 (2018).

概要: 1K以上の超動ヘリウム4の熱対向流において、量子乱流の減衰を、実験、数値計算により研究した。特に量子渦の線長密度の減衰を記述する方程式の減衰係数がどうなるか、理論と符合するかについて調べた。

*Satoshi Yui, Makoto Tsubota, and Hiromichi Kobayashi,
Three-Dimensional Coupled Dynamics of the two-fluid model in superfluid 4He: Deformed velocity profile of normal fluid in thermal counterflow,
Physical Review Letters 120, 155301/1-4 (2018).

概要: 超流動4Heの熱対向流を対象に、2流体モデルの完全結合ダイナミクスの計算を行った。超流体は量子渦糸モデル、常流体はナヴィエ・ストークス方程式で扱い、両者を相互摩擦で結合した。量子乱流の発達に伴い、常流体の流れ場のプロファイルに大きな変化が生じることを示した。

Keigo Nakamura, Tetsuya Hisanaga, Koichi Fujimoto, Keiji Nakajima and *Hirofumi Wada,
Plant-inspired pipettes,
Journal of the Royal Society Interface 15, 20170868 (2018).

概要: ゼニゴケの雌株は特徴的な傘のような形をしており、 水を介して受精を行うために適した構造をもつ。我々はこの傘状の形態に着目し、3Dプリンタを用いてこれを模したデバイスを造形し、その性質を実験的に調べた。実験結果とスケーリング理論を組み合わせ、この簡易なデバイスが毛管長をうわまわるサイズの水滴を掴み、かつ滴下できることを実証した。加えて、ピペットとしての最適な形状を決定した。

*Tomohiko G. Sano and Hirofumi Wada,
Snap-buckling in asymmetrically constrained elastic strips,
Physical Review E 97, 013002 (2018).

概要: オイラー座屈が生じた円弧を凹ませて外力を加えると円弧の曲がった方向が逆転する「飛び移り座屈」の研究には長い歴史があるが、境界条件の非対称性の様な外在的な性質に焦点を当てた研究は見過ごされてきた。非対称な境界条件は板の一端が固体表面と摩擦するような状況で自然に現れる。そこで上端をクランプ、下端をヒンジ条件として非対称に薄い弾性板を座屈させた状態を用意し、上端を左右に動かす実験を行った。すると曲げ方向が逆転し、飛び移り座屈が起きる。その力応答は履歴依存的ではあるが鏡像反転した操作によって再利用可能であり、飛び移りの際に不連続に変化する。本論文では、この「境界条件によって駆動された飛び移り座屈現象」の起こるメカニズム、力応答関係、ダイナミクスを実験的に明らかにし、実験結果を説明する新たな厳密解を構成した。 【Editor's Suggestion に選ばれた。】 

Toshiaki Kanai, *Wei Guo, Makoto Tsubota,
Flows with fractional quantum circulation in Bose-Einstein condensates induced by nontopological phase defects,
Physical Review A 97, 013612/1-5 (2018).

概要: 原子気体ボース・アインシュタイン凝縮体において、spiral dark solitonの構造と運動を調べた。同心円上の二つの凝縮体に対し一方に角運動量を与え、両者をマージさせたとき、その境界からdark solitonが現れ、螺旋運動をおこない、凝縮体が持つ角運動量を輸送する。これは量子渦が関与しない凝縮体の回転の新たな機構を与える。

2017

*Fuyuki Nabeshima, Kosuke Nagasawa, and Atsutaka Maeda,
Superconducting fluctuations in FeSe0.5Te0.5 thin films probed via microwave spectroscopy,
Physical Review B97, 024504/1-6 (2018).

概要: 磁場中超伝導転移のブロードニングが観測されるFeSe0.5Te0.5のエピタキシャル薄膜試料で交流複素電導度に現れる超伝導揺らぎを測定し,それが3次元XY型であり,また,臨界温度の1.1倍まで見える,従来の超伝導のセンスの1000倍ほどの大きなものであることを明らかにした。

*G. N. Phan, Kousuke Nakayama, K. Sugawara, T. Sato, T. Urata, Yoichi Tanabe, Katsumi Tanigaki, Fuyuki Nabeshima, Yoshinori Imai, Atsutaka Maeda, and Takashi Takahashi,
Effects of strain on the electronic structure, superconductivity, and nematicity in FeSe studiedby angle-resolved photoemission spectroscopy,
Physical Review B95, 224507/1-6 (2017).

概要: FeSeのバルク単結晶,圧縮ひずみを加えた厚膜単結晶,モノレーヤ薄膜単結晶それぞれについて角度分解光電子分光測定を行い,伸長ひずみから圧縮ひずみへと変化が起こるにつれて,ガンマ点のホールバンドとM点の電子バンドの相対関係が変化し,それが観測される諸物性の変化を説明することを示した。 

*Masamichi Nakajima, K. Yanase, Fuyuki Nabeshima, Yoshinori Imai, Atsutaka Maeda, and Setsuko Tajima,
Gradual Fermi-surface modification in orbitally ordered state of FeSe revealedby optical spectroscopy,
Physical Review B95, 184502/1-5 (2017).

概要: FeSeの光学領域の複素電気伝導度スペクトルを温度の関数として測定し,構造相転移より低温で,コヒーレントなキャリアのスペクトル強度が連続的に減少することを明らかに,このことから,構造相転移が電子系を起源とするネマティックな転移であることを結論した。

Tomohiko G. Sano, Tetsuo Yamaguchi, and Hirofumi Wada,
Slip Morphology of Elastic Strips on Frictional Rigid Substrates,
Physical Review Letters 118, 178001 (2017).

概要: 細い物体同士が相互作用し静止する現象の素過程として、弾性棒または弾性板を基板に対して鉛直に押し付け座屈する現象を考えた。板を押し付けるとまず対称性を破り座屈し、更に押し込む事で曲率を解消する方向に下端が滑る。この振る舞いは一見単純そうに見えるが、実は板の弾性、幾何学、摩擦や重力などが複雑に絡み合った現象である。弾性論の厳密解、数値計算、実験を組み合わせ、細い弾性体の剛体基板上での座屈形態を統一的に理解することに成功した。

*Yoshinori Imai, Yuichi Sawada, Fuyuki Nabeshima, Daisuke Asami, Masataka Kawai, Atsutaka Maeda,
Control of structural transiton in FeSe1-xTex thin films by changing substrate materials,
Scientific Reports 7, 46653/1-5 (2017).

概要: LAO基板上でも鉄カルコゲナイドのTe置換試料がすべてのTe量にたいして作製できることを示したと同時に,Te置換とともに構造相転移が抑制されると同時に,超伝導の臨界温度が不連続的に増大することを示した。

Takaaki Iguchi, Takeyoshi Sugaya, and *Yukio Kawano,
Silicon-immersed terahertz plasmonic structures,
Applied Physics Letters 110, 151105-1-4 (2017).

概要: テラヘルツ照射下におけるプラズモンのダイナミクスを調べた。時間分解測定から、テラヘルツパルス照射後にプラズモン由来の信号が遅れて出現することを見いだした。また、そのフーリエ変換による周波数スペクトルからシリコン周期構造に応じた共鳴周波数を示すことが分かった。この局所的に集中しているプラズモンと、外部試料との近接的な相互作用から、大きな信号変化を取り出すことができた。

*Che-hsiu Hsueh, Wen-Chin Wu, and Makoto Tsubota,
Quantum crystallography of Rydberg-dressed Bose gases on a square lattice,
Physical Review A 95, 013631/1-5 (2017).

概要: 2次元正方格子上に置かれたRydberg型の長距離相互作用をもつボース気体の基底状態を、平均場グロス・ピタエフスキー方程式により調べた。相互作用の特徴的距離とポテンシャルの深さに依存して、アモルファス、多結晶、ボース・グラス等多彩な基底状態が得られた。これらの状態の異方的超流動密度を求めた。

*Fuyuki Nabeshima, Yoshinori Imai, Ichiro Tsukada, and Atsutaka Maeda,
Growth and transport properties of FeSe/FeTe superlattice thin films,
Japanese Journal of Applied Physics 56, 020308 (2017).

概要: FeSeとFeTeの超格子をPLD法で作製することに成功し,数層の厚みのFeSeまたはFe(Se,Te)が,バルクより高い臨界温度を持つことを示した。上部臨界磁場の異方性の測定より,これは超格子にしたことによる効果の表れであると考えられる。

2016

Yasuaki Morigaki, *Hirofumi Wada and *Yoshimi Tanaka,
Stretching an elastic loop: Crease, helicoid, and pop-out,
Physical Review Letters 117, 198003 (2016).

概要: 紙をリボン状に切り出し、輪っかをつくってから両端をひっぱる。十分輪っかが小さくなったとき、ある場合にはしわができてそのまま折れてしまうが、別の場合には輪っかにたまった「ねじれ」が突如、リボン全体に伝播してリボンが飛び上がる。この簡単な現象を実験、理論、シミュレーションを組みあわせて詳細に調べた。異なる転移を支配する幾何学的なパラメータおよび特徴的な長さスケールを特定し、リボンのふるまいを決める幾何学と力学の深い結びつきを明らかにした。 【Editor's Suggestion に選ばれ、表紙のカバーになった。 APSのPhysics Synopsisで紹介された。】

*Yuichi Sawada, Fuyuki Nabeshima, Daisuke Asami, Ryo Ogawa, Yoshinori Imai,
Transport properties of FeSe1-xTex thin films under magnetic fields up to 8 T,
Physica C 530, 27-30 (2016).

概要: PLD法で作製したCaF2上のFeSe1-xTex薄膜(xは0から1まですべてをカバー)において,磁場中超伝導特性やホール効果を測定し,上部臨界磁場の異方性やホール係数の温度依存性が組成とともにどのように変化するかをしらべた。

*Yoshinori Imai, Yuichi Sawada, Daisuke Asami, Fuyuki Nabeshima, Atsutaka Maeda,
Superconducting properties of FeSe1-xTex films with x = 0-0.4,
Physica C 530, 24-26 (2016).

概要: CaF2上にFeSe1-xTex薄膜を作製し,一定のTe組成に対してバルク試料で見られた相分離が完全に抑制され,かつ,バルク試料では相分離が起こる組成において,臨界温度が最高値を取り,それは従来知られていたバルク試料の最高値の1.5倍になることが分かった。

Daichi Suzuki, Shunri Oda and *Yukio Kawano,
A flexible and wearable terahertz scanner,
Nature Photonics 10, 809-814 (2016).

概要: カーボンナノチューブ膜がテラヘルツ光をよく吸収することを用いて、フレキシブルなカメラを開発した。テラヘルツイメージング測定から、異種材料界面での強いテラヘルツ応答を見出した。この結果から、応答メカニズムが電子の加熱効果に基づくことがわかった。

Daichi Matsumoto, Koji Fukudome and *Hirofumi Wada,
Two-dimensional fluid dynamics in a sharply bent channel: Laminar flow, separation bubble and vortex dynamics,
Physics of Fluids 28, 103608 (2016).

概要: 鋭い曲がりを持つ流路内の2次元的な流れを、ナビエストークス方程式の直接数値計算によって調べた。レイノルズ数10^4までのながれを分類し、層流の不安定化、エッジ後方での剥離、渦の周期放出のダイナミクスを特徴づけた。スケーリング則をもちいて流量損失や渦列のふるまいを議論した。これらの結果は、複雑な分岐構造をもつ肺気管内の空気の流れを理解するために役立つかもしれない。

*Ichiro Tsukada, Ataru Ichinose, Fuyuki Nabeshima, Yoshinori Imai, Atsutaka Maeda,
Origin of lattice compression of FeS1-xTex thin films on CaF2 substrates.,
AIP Advances 6, 095314/1-7 (2016).

概要: Feカルコゲナイドエピタキシャル薄膜の高分解能TEM断面観察とEDXによる組成分析を行い,臨界温度と結晶構造,界面の清浄度,ひずみの大きさとの関係を議論した.

Hirofumi Wada,
Structural mechanics and helical geometry of thin elastic composites,
Soft Matter 12, 7386-7397 (2016).

概要: 弾性リボンと膜からなる複合材料がらせんの形状をとるための力学的な仕組みと条件について理論的に考察した。結果は、ある種のバクテリアのらせん細胞やその他らせん的なかたちをとる自然界の構造物の理解に役立つ。

Xiangying Deng, Shunri Oda, and *Yukio Kawano,
Frequency Selective, High Transmission Spiral Terahertz Plasmonic Antennas,
Journal of Modeling and Simulation of Antennas and Propagation​​ 2, 1-6 (2016).

概要: テラヘルツ波の波長よりも小さい微小サンプルの解析を行うには、サブ波長空間にテラヘルツ電界を集中させる必要がある。さらに、複数の周波数帯での測定が必要となる。これらの条件を満たすため、スパイラル形状のプラズモニック構造を新規に提案した。電磁界シミュレーションの結果から、スパイラルの形状によって任意に周波数帯域を設定できることを示した。

*Hideyuki Takahashi, Yoshinori Imai, Atsutaka Maeda,
Low-temperature-compatible tunneling-current-assisted scanning microwave microscope utilizing a rigid coaxial resonator,
Review of Scientific Instruments 87, 063706/1-6 (2016).

概要: 空間分解能200nmで11GHzにおける複素電気伝導度の空間分布を非接触で液体ヘリウム中で測定できる,マイクロ波顕微鏡を開発した。その装置の詳細な報告。同装置は,同軸共振器とエバネセント波を組み合わせた構造をしており,STMとしても使うことができる。

*Yuichi Sawada, Fuyuki Nabeshima, Yoshinori Imai, Atsutaka Maeda,
Investigation of Transport Properties for FeSe1-xTex Thin Films under Magnetic Fields.,
Journal of the Physical Society of Japan 85, 073703/1-4 (2016).

概要: PLD法で作製したCaF2上のFeSe1-xTex薄膜(xは0から1まですべてをカバー)において,磁場中超伝導特性やホール効果を測定し,上部臨界磁場の異方性やホール係数の温度依存性が組成とともにどのように変化するかをしらべることにより,臨界温度があるTe組成xで急に変化する原因を議論した。

*Shinichi Ikawa, and Makoto Tsubota,
Coflow turbulence of superfluid 4He in a square channel: Vortices trapped on a cylindrical attractor,
Physical Review B 93, 184508/1-8 (2016).

概要: 超流動4Heのcoflowと呼ばれる状況での量子乱流の数値的研究を行った。歴史的に研究されて来た熱対向流とは異なり、coflowとは超流体と常流体が同方向に流れる状況である。昨年行われた実験が本研究の動機である。この場合、量子渦を引き込むアトラクターが出現することがわかった。量子渦はアトラクターに引き込まれ、非一様な乱流構造を作る。

*Kazuya Fujimoto, Makoto Tsubota,
Direct and inverse cascades of spin-wave turbulence in spin-1 ferromagnetic spinor Bose-Einstein condensates,
Physical Review A 93, 033620/1-10 (2016).

概要: スピノール・ボース・アインシュタイン凝縮におけるスピン波の波動乱流を解析的および数値的に研究した。弱波動乱流理論をこの系に適用し、特徴的なベキ乗則を持つ、順カスケードおよび逆カスケードが生じることを見いだした。グロス・ピタエフスキー方程式の数値計算意より、この描像を確認した。

*Yuji Hirokane, Yasuhide Tomioka, Yoshinori Imai, Atsutaka Maeda, Yoshinori Onose,
Longitudinal and transverse thermoelectric transport in MnSi,
Physical Review B 93, 014436/1-5 (2016).

概要: MnSi単結晶でゼーベック効果およびネルンスト効果を温度・磁場の関数として測定し,ネルンスト効果の異常部分は,電子のベリー位相に関係した現象であること,またスキルミオン格子への相転移においては,これらの熱電信号はほとんど変化しないことを明らかにした。