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A04公募(2014-15) 坂上 貴洋

論文等 | 原著論文

2015

Michiel Laleman, Marco Baiesi, Boris P. Belotserkovskii, Takahiro Sakaue, Jean-Charles Walter,and *Enrico Carlon,
Torque-Induced Rotational Dynamics in Polymers: Torsional Blobs and Thinning,
Macromolecules 49, 405-414 (2015).

概要: 長くて柔らかい高分子鎖の一端を棒状の障害物に固定し、棒を回転させると高分子は棒の周りに巻きついていく。この状況は、ポリメラーゼによるDNA, RNA合成過程との関連から興味深い。本研究では、理論とシミュレーションにより、この系の定常状態(トルク-角速度関係、鎖の動的なコンフォメーション)の解析を行った。特に、「ねじれブロブ」(torsional blob)という概念を導入し、「鎖の一端を引っ張った時の伸張」と「トルク下での回転」との類似点、差異を明確にした。

*Takuya Saito, *Takahiro Sakaue,
Driven anomalous diffusion: An example from polymer stretching,
Physical Review E 92, 012601/1-13 (2015).

概要: 高分子系に見られる多くの異常ダイナミクスにおいて本質的に重要となる鎖に沿っての張力伝播様式について、理論的な研究を行った。中でも、鎖を強い力で引っ張る場合に見られる非平衡ダイナミクスを記述する非線形記憶カーネルを導出し、伸長過程のゆらぎの特性を議論した。 【齋藤拓也(理論解析、MDシミュレーション)】

2014

Ahmed Khorshid, Philip Zimny, David Tetreault-La Roche, Geremia Massarelli, *Takahiro Sakaue, and *Walter Reisner,
Dynamic Compression of Single Nanochannel Confined DNA via a Nanodozer Assay,
Physical Review Letters 113, 268104:1-5 (2014).

概要: ナノチャンネル(ナノスケールの微細管)中で、DNAの非平衡ダイナミクスを探索する実験系を構築し、動的圧縮現象についての実験と理論的解析を行った。実験系は、光学的にトラップしたビーズを用いてDNA一分子の動きを制御する「ナノピストン」であり、ナノスケールでのブルドーザーという意味を込めて、「ナノドーザー」と命名した。ナノドーザーの操作速度を増すにつれ、DNAはいくつかの特徴的な動的圧縮挙動を示すことを実証し、移流拡散方程式の解析からこの過程を記述するスケーリング則を構築した。【PRL Editors' Suggestionに選定】

*Miho Yanagisawa, Shinpei Nigorikawa, Takahiro Sakaue, Kei Fujiwara, and Masayuki Tokita,
Multiple patterns of polymer gels in microspheres due to the interplay among phase separation, wetting, and gelation,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 111, 15894-15899 (2014).

概要: 高分子ブレンドが細胞スケールの閉じた空間(W/O微小液滴)で形成するパターンについて、閉じ込めが相分離、ゲル化、濡れのダイナミクスに及ぼす影響に着目して研究を行った。ゲル相と液滴界面との濡れ性を調節することにより、微小サイズの中空カプセルを作成できることを示し、このカプセル壁の厚みを制御する要因を考察した。マイクロゲルが液滴界面に部分的に濡れる場合は、濡れと弾性効果との競合による液滴の変形が見られ、この現象に対するサイズ効果を解析した。また、相分離後、ゲル化を開始するまでの待ち時間を制御することにより、ディスク型、星形などの多様な形状のマイクロゲルを形成できることを示した。

Ken-ichi Mizuochi, Hiizu Nakanishi, and *Takahiro Sakaue,
Dynamical scaling of polymerized membranes,
Europhysics Letters 107, 38003:p1 -p6 (2014).

概要: モノマーを二次元網目状に重合した「高分子膜」(polymerized membrane)のダイナミクスをモンテカルロシミュレーションにより研究した。特に、膜中の着目モノマーの変位を、膜面の法線方向と、それに直交する面内成分とに分解し、それぞれの方向における異常拡散指数を同定した。これらの拡散指数と、膜面の統計的構造を反映する粗さ指数との関係を動的スケーリングの立場から議論した。また、膜面の静的構造を記述する自由エネルギーから出発し、モノマーのダイナミクスを記述する一般化ランジュバン方程式を導出し、異常拡散を引き起こす記憶効果の起源を明確にした。最後に、長距離に及ぶ流体力学的相互作用の効果を議論した。